そして、昼ドラへ
俺は、ゴブリンの巣窟壊滅作戦が失敗に終わったことを伝えに宿屋のオリビアの部屋を訪れていた。
「それは、大変な目にあったな。
私が体調不良を起こさずにそこにいれば、そんな無惨なことにはならなかっただろうに……」
ひとしきり今回のことの顛末を聞いてもらったところ、オリビアは少し責任を感じてしまったよう。
「いや、オリビアが気にすることは何もないさ。
俺も服がこんなに血みどろになるくらい傷ついたけど、最終的にはどうにかこうにか帰って来られたからな。
まあ、もうゴブリンの仕事は絶対にしたくないけどさ」
俺は、自分の血で汚れた服を見せながら何とか作り笑いをして見せる。
オリビアは、そんな俺に一瞬、悲哀の表情を見せたがすぐに笑い返してくれた。
「さてと、それじゃあ、俺は自分の部屋に戻るわ。
そろそろ、お使いに行った女神も帰って来るだろうしな」
俺は、そう言うと自分のシングル部屋に戻るため振り返ってドアノブに手を伸ばした。
すると、反対側の手をオリビアの手が掴む。
少し驚いて後ろを見ると、そこに知らぬ間にオリビアの顔が間近にあり、潤んだ綺麗な瞳でこちらを見上げていた。
女性特有のとても良い匂いがする。
「……。
すまないけど、もうちょっとだけ、ここに居てくれないか?」
そんな、しおらしい言葉が彼女の口から発っせられたものだと理解するのに少し時間がかかった。
ゴクリ(つばを飲む)
そこには、綺麗な肌を大きく露出する美しい女性がいた。
「ど、どうしたのですか、オリビアさん。
ぼ、僕はもう、けっ、結婚してしているんですよ」
俺は、恥ずかしさと自分の欲望にあがらう為に、その顔に背中を向ける。
すると今度は、その背中に自分の身体を密着させてきたオリビア。
「少し……、ほんの少しでいいから……」
オリビアの妖艶で切ない言葉が聞こえ、俺の首元に熱い吐息がかかる。
そして、その場所に何か鋭いものが、触れたと感じた瞬間。
バタンッ!!!
「ただいまですの~!」
目の前のドアが開いて女神がそこに帰ってきた。
俺は、心臓が飛び出るかと思うくらい驚いて、鼻水が出た。
すぐに後ろのオリビアを確認するも、もうそこには姿がなく、いつの間にか部屋奥のベットの中に潜り込んでいた。
あまりの事で、俺がキョロキョロとキョどっているとそこに女神は声を掛けた。
「どうかしたのですか?」
「う、うん。
ちっ、ちょっと、そう、もうちょっとでスタンドが出そうな気がしてね」
訳の分からないことを言ってしまい、余計に慌てふためく俺は、知らなかった。
毛布に包まりベッドへ横になるオリビアがこう小さく呟いたのを。
「ちっ、 私としたことが……。
少し、あいつの血にあてられてしまったな」




