ゴブリン巣窟壊滅作戦4
一時間後。
俺は、ゴブリン達の包囲網を命からがら逃げ出して、ようやく追ってきたゴブリンを巻くことに成功した。
「はあはあ(息苦しい)、絶対に死ぬと思った」
自分が上手く逃げ出せたと言うよりも、ゴブリン達が俺を殴るのに疲れて休みだしたから出来た芸当だった。
「無事のようで良かったですね。ボク達、五つ子の回復魔法がとてもお役に立てたみたいで嬉しいです(笑)」
「全然、良くないんだよっ!!! こん棒で殴られ続けて回復されてはまた、殴られるってどこの地獄かと思ったわっ!!!」
「でも、命は助かった……、でしょ?」
言いながら4人そろって笑顔で指差された俺は、奴らに殺意を覚えた。
「途中であまりの痛さに、もういっそのこと殺してくれと何回も言いかけたわっ!!!
おかげで俺の心に、でっかいトラウマがまたひとつ生まれたよっ!!!
ゴブリン恐怖症というトラウマがっ!!!」
「ははは(笑)
これは、また大袈裟だなあ。
ボク達、回復魔法五人組がいれば必ずその命、また救って見せましょう」
「いや、もう絶対に嫌だっ!!!
おまえらと組むのは、もう金輪際ごめんだっ!!!
だいたい、なんで心配して助けに行ったドザエもんがゴブリンに寝返って、俺のことをボコボコにしてんだよっ!!!」
「さあ、それはボク達にも何がなにやら……。
なんたってボク達は、五つ子と言っても好みや考え方もバラバラなんでね」
「その設定あるんなら最後まで貫き通さんかいっ!!!
何で5人いて5人とも回復術師やねんっ!!!
どう考えてもそんなにいる必要ないよね?!!!」
「フフフ(笑)
なんやかんや言っててもボク達は、同じ時間と同じ経験を過ごして来た兄弟ですから。
人はそれを『絆』なんて言うのかもしれない」
「うるさいわっ、ボケーっ!!!
女神の前だからってかっこつけてんじゃねえよっ!!!
だいたい、女神もなんで俺への防御魔法(ATミルフィーユ)を解いちゃったんだよっ!!!」
すると女神は少しだけ不貞腐れたような顔をして言った。
「あら、後衛のサポート役は前衛の回復に全力を尽くすように言ったのは、ダーリンですよ」
「うっ(図星)……、そうでした」
すべては結局、五つ子が統制のとれたバランスのいいパーティーと勘違いしていた自分の過ちだったのでした。
その後、ヘローワーク(ギルド)にて、
「プハ――――ハハハハハッ(笑)
それで、ゴブリン達にボコボコにされる度に回復されて、またボコボコにされてって面白すぎるよ。
キミ達は、世界のスターを笑い死にさせるつもりかい?」
先ほどから人の不幸の何がそんなに面白いのか、一向に笑い止もうとしないミッチー(黒いネズミ)に、俺はもう飽き飽きしていた。
「はあ(ため息)、もういくらでも笑ってくれ。
とにかく、この依頼はキャンセルってことで処理してよ。
もう、ゴブリンには絶対に会いたくないから。
じゃあな」
そう言い捨てて、出口に向かう俺をミッチーが呼び止める。
「ああ、ちょっと待ちなよ!
依頼のキャンセル料として25万円、まだ払ってないよね!」




