大切な友達
東の森で薬草採取をしていた俺達だったが大分、日が落ちてきたこともあり、今日は引き揚げて薬草の納品にヘローワーク(ギルド)へ寄っていた。
俺が代表して三人で集めた薬草をカウンターの上へ載せる。査定をするのは例の黒いネズミの着ぐるみだ。
「ハハッ……、
ハ、ハハハ、
ハ―――――ハハハハハハッ!!!(大爆笑)」
「何がそんなに可笑しいんだよっ?!」
「ハ――ハハッ!!!(笑)
だって、大の大人三人で今日一日かけて収穫したのが薬草十枚って、こんな不毛なことってあるかい?
薬草一枚で10円だから、全部で100円だって!
ハハッ(笑)
キミ達は、どこの子供のお使いなんだい?」
「お前が子供を引き合いに出しちゃダメだろう!
これでも知らない森の中で頑張った結果なんだよ。
少しは気を付けて話してくれない?」
「ハハッ(笑)
キミ達に気を使えって言うのかい?
そんなの大阪に出張するくらい嫌だよ!」
「くそっ!
このネズミ、まだ朝に気絶させられたことを根に持ってるな」
「ハハッ(笑)
朝にあったこと? なんかボクにあったかな?
そんな昔のことは覚えちゃいないよ。
さあ、これが今日の報酬の100円だよ。
せいぜい、あり難く受け取るがいいさ」
「ぐぬぬぬっ!
あっ、でもちょっと待って。
袋の中にもう一枚、薬草が入ってたわ」
俺は、袋をひっくり返して薬草をカウンターの上に叩き出した。
と、その時、
コロン
袋の中から透明な色をした、しずく状の小石のような物が一緒に出てきた。
それは、スライム"ひか・きん”(←ひらがなです)の亡き骸近くにあったきれいに光るガラス玉に似たもので、俺が拾ったのだった。
「あっ、これは違うんだ。
俺の大切な友達の形見でね」
「えっ?! ちょっと待ってくれる?!」
びっくりした様子の黒いネズミは、その美しく光る石を拾い上げ、自分の口に近付けて熱心に観察する。
「こっ、これっ!!! いったいどこで手に入れたんだい?!!!」
「え? これ?
これは、俺の友達のスライムが亡くなった時にそこに落ちてたものだけど。
何かマズイことでもあるのか?」
「その逆だよっ!!!
これは、"スライムの涙”という魔石で、非常に稀な確率でドロップするスーパーレア・アイテムさ。
ドロップする条件は今だに不明で、一説では信じがたいけど言葉を話すスライムが心底に絶望するとドロップする可能性があるという話さ。
これひと粒だけでも、およそ100万円以上の値が付くと思うよ!」
俺達は、その友達の形見を速攻で売った。




