森の中のクマさんが……。
俺達は、町の東門をくぐり抜けると直ぐに目的地の森に到着した。
森には道が一本通っていて、薬草"モウダメ草”を採取すべくその道を奥に進んでいる。
すると、お散歩気分の呑気な女神が何やら歌いだした。
「ある~日~♪ モリの中~♪」
「ああ、女神様。知ってますよ、その歌。
子どもの頃、よく幼馴染みと歌ってましたから懐かしいです」
「ええっ?! 異世界にもあるの?! この歌?!
童謡のくせしてどれだけ認知度が高いんだよっ!」
「あら、ダーリンまで知ってるんですね?
有名な歌ですから、それこそ世界を股にかけたんじゃないですか。
不思議な歌ですけど」
「そうなんですよね。何が言いたいのかさっぱりなんです」
「不思議も何も、やさしいクマさんが助けてくれるっていうお話しだろ?
ある~日~♪ 森の中~♪ クマさんが~♪って」
「「クマさん???」」
「えっ?! 違うの?」
女神とオリビアは、怪訝な表情でうんうんと頷く。
「えー、じゃあ何が違うのか歌ってくれる?」
そう俺が言うと、二人は顔を見合わせ、「せーのっ」と言ってから輪唱を始めた。
「ある~日~♪ (ある~日~♪)
モリの中~♪ (モリの中~♪)
モリの中♪ (モリの中♪)
モリの中♪ (モリの中♪)
モリモリ、モ・リ・の・な・か~♪
モリモリ、森の中~♪」
俺「それ、完全に遭難しちゃてるからねっ!!!」




