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レッツゴー! お肉屋さん

 『ギルド』を探していた俺達は、子供たちから有力な情報を得て、早速その青空市場の肉屋に向かった。


 青空市場と言うのは、町の中央広場に続く大きな通りで、食べ物や雑貨、アイテムなどいろいろなお店や出店(でみせ)が並んでいる。

 その品揃えにお腹が空いた俺は、思わず手が伸びそうになるが、如何(いかん)せんおカネがない。


「ああ、早く仕事が欲しい」


 前の世界では、絶対に思わなかった感情を今は渇望する。


 そんな市場の中央付近にそのお肉屋さんはあった。

 どこにでもあるような普通の店構えで、看板には『ニーサン・ポーク肉屋店』と表示があった。


 カランコロン♪(ドアを開けたら鳴った音)


「いらっしゃいブヒ」


 笑顔で振り返った肉屋の主人は、何の冗談か豚の半獣人であった。


「あ、えっと、どうも初めまして。

 お、俺達は、ちょっとお客じゃなくて、少し聞きたいことがあってここに来たんですけど……」


 女と子供には強いが、大人の男が恐い俺は、言葉を噛み噛み何とか出した。

 聞いた半獣人の肉屋は、笑顔を消して少し怪訝な表情になった。


「肉屋に肉も買わずに聞きたいことですか? いったい何でしょうか?」


「俺達は今、『ギルド』を探してるんです。何処に行けば良いのか教えてくれませんか?」


 すると肉屋の顔がみるみる険しい表情になった。怒る寸前とも言っていい。

 そして、近くにあった肉切り包丁を手にとる。


「お前たち、なんか怪しいな。

 『ギルド』を探してどうしようっていうんだよ。

 ことと次第によっちゃ……」


 ガンッ!!!


 まな板に置いてあった肉のブロックが、包丁で真っ二つに分かれた。


「い、いや、た、た、た、大したことではないんだ。た、ただ、仕事を紹介して欲しくって……」


「『ギルド』に仕事を紹介してもらうだと?

 馬鹿を言うな!

 お前ら、そんなにおカネがないのか?!」


「は、はい。一文無しです」


「だからって『ギルド』に仕事を紹介して貰おうなんて、子供の小遣いにもなんねえぞ!」


「えっ?! どういう意味ですか?」


「だから、俺の息子の『ギルド』は、まだ9歳。小遣いをあげ始めたばかりだ。

 その小遣いを狙っているなんて、お前、大人として恥ずかしくないのかよ?」


 ここで俺は、理解した。

 中央広場で教えてもらった『ギルド』とは、この肉屋のオヤジの息子の名前だったのだ。


 今、俺達は、小さな子供のわずかなお小遣いを狙うプライドもくそもない最低の大人であった。





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