ギルドって美味しいの?
オリビアが帰ってきたその日は馬車の荷台の上で三人、川の字なって寝た。
俺にとっては、美女に囲まれる異世界ハーレム状態だったが、残念ながら気絶して意識なし。
翌朝、荷台を降りて中央広場の噴水の縁に二人を座らせた俺は、こう切り出した。
「では今一度、現状分析をしようじゃないか」
この提案に女神とオリビアは一緒に頷く。
「じゃあ、今、困っている事がある人は手を上げて下さい。
俺は、とにかく腹が減ったよ。
昨日から何も食べてないからな」」
すると、ほぼ同時に二人は手を上げた。が、言ったのは女神が先だった。
「わたしは、このシリーの充電がしたいですわ。
シリーがあれば、この現状を分析させて上手く立ち回れると思いますの。
今後の情報収集にも役立ちますし」
「私は、先ずは着るものだな。
最近、この手拭い一枚の状態がデフォルトになってしまい、恥じらいが薄れつつある自分が恐いのだ。
なるべく早い内に、上に羽織るものだけでも何とか欲しい」
「うんうん、そうだね。
俺はご飯、女神はシリー、オリビアが着るもの。
それぞれ、先んじて欲しいものがあると言うことだな。
だが、これらを解決するには共通する問題がひとつだけ挙げられる。
それが何かというと、ズバリ言って『お金』のことだ。
今の俺達の問題を解決する為には、まずは現金が必要不可欠と言えるはずだ。
だから俺達は、最優先で金を稼ぐ必要があると思う」
そう俺が言うと、二人は同意を示すようにひとつ頷いた。
「だが、そう簡単に就職出来るものなのか?」
「ふっふっふ(笑)
俺がどれだけ異世界もののラノベを読んでいると思ってるんだ?
町に着いたら一番始めにしなければいけない事なんて、直ぐに思い付いたよ」
「ん?! そのラノベって何だ?」
「えっと、ラノベってこの文章自体で、俺達は、その中のキャラクターであってって…、違――――うっ!!!
今、気にしなくてはいけないのは、そこじゃないのっ!!!
むしろ、触れてはいけない禁忌の領域。
もう絶対にその疑問を出したらダメだっかんなっ!!!
俺達が、今一番に行かなくてはいけないのは、これ。
『冒険者ギ・ル・ド』」
すると、それを聞いた二人は顔を見合わせ、キョトンとした表情を見せた。そのまま俺の方へ顔を戻してこう聞いた。
「そのギルドって何なんだ? 旨いのか?」
「えっ?! ギルドってって……、まさか知らないのか?」
二人は無邪気にコクコクと頷いた。




