絶対に巨人2
なぜ、壁の外に出ているのか?
この質問の返答いかんによって、地下の牢獄への監禁もあるだろう。
俺は、咄嗟にそう察した。
「……、えーと、俺達は、」
何も良い言い訳が浮かばず、少しでも考える時間を引き延ばそう試みる。
とその時、突然、オリビアが尋問に割って入ってきた。
「私の名は、ビーフストロガノフ・デン・オリビア。
二つ名は、『電撃の魔剣姫』だ。
この大陸の者ならば、聞き覚えがあるだろう。
今すぐにその態度を改め、この壁の中に招き入れよ!」
手拭い一枚のオリビアが、そう口上を述べた時、馬上の眼帯男は少し驚いた表情を浮かべた。
「『電撃の魔剣姫』だと?
その名は勿論、知っているが……。
百年前の『第三次魔人大戦』で先陣を率いた三英雄のひとりだぞ。
その二つ名を名乗ることがどれだけ危ういことなのか、貴殿は分かっているのか?」
「ああ、勿論だ。
私が、その魔剣姫で間違いないからな。
何も臆することなど、全くない」
オリビアの優美なる品格と堂々とした口振りに対して、眼帯の男は難しい顔をした。
すると、後ろの部下に向けて次のように命令した。
「おいっ! この方々を城の貴賓室までお連れしろ」
俺は、オリビアの名声のおかげで、どうにかこの場を切り抜けたと思い、ひとまずホッとした。
「ちょっと、お待ちなさい!」
突然、そう言ったのは女神だった。
「わたしの名前は、アクエリアス。
ええ、そうです。
あの神聖なる水の女神、アクエリアスです。
低俗で愚かな人間達よ。
高次なる神のわたしを、崇め奉るが良いのです」
それを聞いた馬上の眼帯男の顔が、どんどん怪訝な表情になっていく。
その後、俺達は陰気でじめじめした地下牢に監禁されましたとさ。




