ギリギリのギリ
遮る物が何もない強烈で灼熱とする太陽。
「あっ・なっ・たっ・ねええええ!!!
自分が何をしたか、分かってないでしょう?!!!」
見渡す限りの砂丘の真ん中で、俺を正座させたあの碧髪女性は激しく俺を恫喝する。
『狭間の世界』から俺たちが異世界転移した地点は、この女性をイレギュラーに引っ張り込んでしまったことで、大幅に距離をズレてしまい、予想だにしない広大な砂漠のど真ん中に出現してしまったのだ。
そこら辺の事情は、GPSが付いていたオンボロイドAI・シリーが答えを出したのを聞いたのだが、もっと重度の高い問題が他にあると言う。
「えーと、俺と会話していたのは、あの悪魔じゃなくて、あんたがそうなんだよな。
ということは、あんたが本物の女神っていうこと?」
「そうよ! わたしが、本当の女神よ!
その女神を、異世界に連れ込んだ意味。あなた、わかってるの?!
こんな事にならないように、わざわざ夜なべして作った悪魔人形を置いていたのに。
それを無視して勝手に近寄って、わたしをさらって来ちゃうなんて!!!
女神を異世界に連れて行きたいなんてラノベの見過ぎなのよ!!!」
何やら激怒しているが、白い修道服を着たその可愛らしさは本物だ。
「まあ、それは悪かったって。
俺もなんでか良くわからないんだが、ついうっかりな。
でも、女神だったら女神っくパワーで、また元の世界に戻ればいいんでない?」
「それが出来れば苦労はしないわっ!
女神でも、異世界に顕現したら、簡単にはもう戻れないの。
これがどういう意味か分かる?!」
「うーん、わからにゃいなあ」
「あなたと一緒に冒険の旅にでるしかないのよ!
異世界でかわいい女神が一緒に大冒険するってギャグ要素満載の物語。
これだけで、もう本当に存在が危ういのよ!
わたし達では到底、太刀打ちできない巨大コンテンツに喧嘩を吹っ掛けてる状況なの!!!」
「ちなみに女神さまの名前は?」
ううっ、と苦虫を噛み潰したような顔をすると、女神はそのまま顔を俯かせた。
「わたしの名は、水の女神、ア、アク……」
えええええっ!!!!!
それは、まずい。本当にまず過ぎるぞ!
「……アクエリアスです」
うんっ、ギリッギリのギリ!!!
えっ?!
やっぱり、ダメ?
感想求ム。




