称号
「あの、さっきよりも戻って来たの早いんですけど」
暗闇の中、スポットライトに照らされた悪魔(女神)は告げた。
「お前、なんちゅう所に出現させるんだよ!
おかげで痴漢扱いされたうえに魔法で瞬殺されちまったじゃないか!」
「いや、でもラノベ中の温泉回と言ったら人気の定番じゃないですか。やっぱり、出しておかないと思って……」
「確かにそうだけど、そのタイミングよ!
こんな序盤に唐突にいれるかよ、全く。
おかげで、こっちは、ほぼ即死じゃねえか」
俺がそう文句を言っていると、突然、頭の中に音が鳴り響いた。
テッテレ〜♪テーテー♪テッテレ〜ン♪
すると、目の前の空中に不思議な文字列が並び、ボーカロイドのような音声がそれを読み上げた。
――――――――――――――――――
"異世界最短出戻り時間者"の称号を達成。以下のスキルを習得しました。
・《愚者の大親分》Lv3
・《あんたバカぁ?》Lv1
・《あれだけじゃなくて、こっちも早いのね》Lv1
・《ストーリーブレーカー》Lv11
・《外道邪道お茶でもどう?》Lv13
――――――――――――――――――
「なんじゃこりゃ?」
俺が、頭を捻り困惑していると思わぬところから声をかけられた。
「おいっ! お前ら。教えてくれ。ここはどこなんだ?!」
声のした後ろを振り向くと、そこには温泉で共に死んだはずの白金髪の女性がひとり。手拭い一枚で身体の前を隠しながら裸で立っていた。




