選択の狭間
「しかし、おかしいですね。
異世界で死亡した場合でも、すぐに地獄落ちのはず。
もうこちらの世界『選択の狭間』には、来れないはずなんですけど」
すると、ポンコツAIが機械音声で割って入ってきた。
「女神さま、女神さま。
それは、あの人の持っている魔法スキル『金のリンゴ』の効力です。
『金のリンゴ』を持っている人間は、死んだときに1/2の確率で『選択の狭間』に、そうじゃない場合は地獄に行くスキルです。
今回は運良くこちらの世界が選ばれたのでしょう」
「くそう、バカにしやがって。あのポンコツ。
やっぱり『金のリンゴ』の情報を普通に持っていたのか」
「あら、そういう事だったの。
なるほど、納得だわ。
じゃあ、今度は落下死しないように、設定をああしてこうしてっと。
うん。良し、これでOK!」
「本当に大丈夫なんだろうな。このダメ悪魔」
「大丈夫です。わたし、失敗しないので。あと、わたしは女神です」
「今までの経緯で、よくそれが言えたもんだな。ある意味尊敬するよ」
「では、もう一度さようならです。今度はお詫びに少しサービスしておきましたから、もうこの狭間には来ないで下さいね。ウフフ(微笑)」
そう悪魔(女神)に言われるとまた、俺の周りが青白い光で包まれた。
悪魔の言ったサービスという言葉に一抹の不安を抱きつつ、俺は瞬間、転移した。




