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オウムの恩返し1

 俺は、屈みこんでから鮮やかなオウムをぐるぐる巻きに縛る古びたロープを丁寧に解いてやった。

 あっけなく自由になった鳥は、羽ばたくと同時に俺の頭上の少しずれたところを旋回する。

 続けて、


「コッチキテー! コッチキテー!(繰り返す)」


 と、だみ声片言(かたこと)で呼びかけながらどこかに導こうとしているようだ。

 この前のオウムからの流暢な突っ込みは、もしかしたら有名声優さんのアドリブだったのかもと思いつき、俺はこの鳥さんにちょい役以上の何かを感じて言葉どうりについていくことにした。


 人の歩みに合わせてパタパタと先導する飛ぶ鳥を追いかけて、街の裏通りを進むこと約5分。

 薄暗くなった塀の影に隠れて、三角錐に建てられたおんボロテントの中にオウムは飛び込んで行った。

 俺はこのとてつもなく陰気で怪しすぎる建物に少し躊躇した。


「こ、こんに…、ち…ゎ…」


 警戒して緊張する喉からなんとか声を絞り出し、入口と思われる一人分の布を開いて体を滑り込ませる。


 ギョッ!!!


 俺は、突然に目の前に飛び込んできた光景に驚いた。

 そこに見たものは……、


 中世ヨーロッパで使用されていたという拷問器具の『アイアン・メイデン』

 その恐ろしい使い道は大衆に知れ渡るところだが、それに付随する女性を模した無表情の鉄仮面は何ともきみの悪さを強調するものだ。

 そして今、その鉄仮面と思しき頭をもつ人がここに。

 俺は驚いて、テントに入った瞬間に凍り付いて動くことができなかった。

 すると、どこからともなくどこかで聞いたような音楽が鳴る。


 ル~~ルル♪

 ルルル、ル~~ルル♪

 ルルル、ル~~、ル~~、ル~~、ル~~、ルル~~♪

 パヤヤ、パ~パ~パ~パ~パヤパパ~~♪

 パ~♪ パ~パ~パ~~~♪


 鉄仮面 「ようこそお越し下さいました。『鉄子の部屋』へ」







頭の中で音楽がなった人は負けなのじゃ!!

(∩´∀`)∩

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