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再び登場のキュートボーイ

 地獄に落ちた夢を見たような気がして、俺は目を覚ました。

 しかし、目の前に見えるのは、またしても夢のような深い闇。

 少しだけ恐れを感じながら、鈍い頭を持ち上げて何とか直近の記憶を呼び覚まそうと試みる。


「あれ?

 確か血の池地獄に落とされて…」


 そう呟いた時、どこからなのか遠くで俺を呼んでいる声が聞こえた。


「おーい! おーーーーい!!」


 その声は、年寄りのような幼いような不思議なものであったが、心当たりはすぐについた。


「ここです! ここにいますよ!! 俺はっ!!」


 そう叫ぶと目の前に天からの一筋の光が灯った。

 と同時にいきなり現れた光量に思わず目を閉じる俺。

 何回か瞬いたのち、照らし現れたのは、緑のショートカットの髪に黄色いスカーフを首に巻いたかわいい容姿の幼児。


「おひさしブリーフ!!!」


 冗談を言いながら、今までなぜだか記憶が曖昧になってた『恵ノ神様』はそこにいた。



「ど、どうも、神様。

 あれ?

 でもご無沙汰ぶりでしたっけ?

 ついこの間、お会いしたような気が…」


「ギクリっ!!!

 いや、これは、その、あの…、こちらと現実だと時間の流れが…」


 口細る神様を見ながら俺は少しだけなんのこっちゃと小首を傾げた。


「えーい! そんなことは今はどうでもいいのじゃ!!

 それよりもおぬし、なぜこんなところに呼ばれたのか、わかるかのう?」


 俺は、少し考えてから両手を上に向けてから体の横に水平にしてみせる。


「そうじゃろうね~。

 おぬしの記憶は今、血の池地獄を温泉に変えて気持ち良くつかっているとこで終わっているはず。

 ここで、わしからおぬしにどうしても伝えなければならないが二つあります」


 言われて思い起こせば、確かにそこからの記憶が止まっていた俺は、素直に頷いた。


「まずは、ジャジャーン!! 朗・報!

 おぬし達は、地獄の目玉だったアトラクションを壊滅的に破壊してしまったので次に行く場所がありません。

 なので、わしの権限により元の世界に生き返らせることにしました。

 速やかに地獄から撤収してくだちー」


「えっ! もう地獄篇が終わりってこと?

 うひょー! やったぜ!」


「お次は、ジャジャーン!! 悲・報!

 おぬし達のしでかしたことで閻魔大王がカンカンに大激怒。

 もう、絶対に地獄の土地は踏ませないと宣言しました」


「んっ? もう地獄に落ちないってことは、いいことなんじゃないの?」


「地獄に来れないってことは天国にも行けないことにもなるので、次にもし死んだら異世界もの序盤に出てくるスケルトンとして永遠にダンジョンにわくモンスターに就職してもらいます」


 俺はこの時はじめて、ダンジョンのモンスターが際限なくわいてくる理由が、異世界で行き場のなくなった魂が死後、就職した結果だという真実を知った。










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