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地獄で一番熱いとこ?

 賽の河原の地獄をめちゃめちゃにしてしまった我々、異世界探検隊コードネーム「親指と人差し指でハート作るやつ今だけ」は、次の地獄に向かうよう強制され、どことも知れぬ暗闇のトンネルを歩いていていた。

 先導するのは、先程、閻魔大王にこっぴどく怒られた地獄元帥がひとりパンナコッタである。

 彼女にとっては完全にもらい事故のようなもので、なぜに自分が怒られなければならないのかと背中越しでも怒りがにじみ湧き上がるのが見てとれ、声などもかけられぬままに俺たち四人はひたすらに彼女を追う。

 そんな彼女と俺たちが約一時間ほど行脚したところで俺はとうとうトンネル前方に明るく光る光点を視認する。

 するとパンナコッタがゆっくりとこちらに振り返った。

 俺はそこに納まっってはいないだろうの怒りのままの厳しい表情を恐れたが、見れたのはあどけない巫女さん少女のあどけない笑顔。

 なんでそんな笑顔ができるのか?

 不思議に感じつつも、愛想笑いに表情を緩める俺。

 するとパンナコッタの表情はみるみる邪悪なそれになり、あどけない笑顔は悪魔の嘲笑に変わっていった。


「ギャハギャハハハーーー!!!(笑)

 これからお前らは、本当の地獄を知ることになるのじゃ!!

 死んでも死に切れない永遠の苦しみをその身でとくと味わうが良いっ!!」


 そう言って指示(さししめ)したトンネルの先には、この世のものとは思えないほどの大釜とその中で煮えたぎり撹拌される血液。気泡が絶えず湧き上がる赤黒い液面には苦しみを絶叫にしようともがく亡者たちが浮かんではまた沈んでいった。


 血の池地獄。


 その名前は知ってはいたが、目の前に見るものは余りにも残酷で想像を絶する規模の拷問施設であった。

 俺たちはまだ卑屈な笑いが納まらないパンナコッタとこの拷問施設で無表情に働く巨大な鬼たちに促され、大釜の縁に設置してあるひと一人分がやっとの板の前で一列に並ばされた。これからひとりひとりこの小さな木の板を歩かされ、その先端で鬼たちに突き落とされる未来は容易に予知ができる。


「おいっ!! そこの冴えない感じの男!!

 まずは、お前からだ」


 鬼たちのリーダー格らしい人一倍大きな黒鬼が俺を指差して言った。

 俺はその命令を受け入れられず後ろに後退るが、何人もの鬼たちの手が伸びてきて俺を強引に板の上の方へ引きずる。

 俺の人生はもう終わりだ。

 どこかの麦わら帽子の少年は、「人生は冒険だ!!」と言っていたけど、冒険はいつか終わるしその先に地獄が待ってることもあるんだよと教えてやりたい。

 そんなことを頭の中で走馬灯とともに一瞬巡った時に、後ろにいた女神が声をあげた。


「無力な女神でごめんなさい!! ダーリン!!

 こんな時に魔法が使えたなら容易にあなたを救うことができたはずだったのに。悔しくも今となってはわずかにたったひとつのくだらないスキルだけしか残っておりません。

『沸き立つ熱い血の池をお湯に浄化し、さらに腰痛に効く草津産温泉の療養泉に変えてから強制的に40℃の湯加減にしちゃうスキル』だけしか…」


 俺「今すぐにそのスキル使ってーーーっ!!!!!」


 その後、俺たちは気持ちよく温泉につかった。









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