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Hey、尻!2

「とりあえず、戦争するのは止めてくれ。

 こんな下らないことで大勢の人を巻き込むとしたら俺の心が持たないから」


「はあ。

 でも、そうすると『金のリンゴ』の内容が分かりませんよ?

 まあ、わたしはどちらでも良いのですけど」


「それは、お前の聞き方がおかしいんだ。

 せっかくシリーがあるのに、ググろうとするから訳が分からない事になるんじゃないか。

 もっと、素直に質問すれば簡単な話だよ」


「うーん、そう言いますと具体的にはどうすれば?」


「まあ、ちょっと、ここは俺に任せてくれ」


 俺は、そう言うとコホンとひとつ咳払いをして、悪魔(女神)のいる方へ話しかけた。


「Hey、シリー!」


「……」


 反応がない。

 俺はもう一度、少しだけ声を大きくして話しかけた。


「Hey!、シリー!!!」


「……」


 やはり、反応がない。最近のシリーは、持ち主の声にしか反応しない高性能なのだろうか?


 そう思って、ダメかと諦めかけた時、何やらひそひそ話のような小さく絞った機械音声が聞こえてきた。


「女神さま、女神さま。何だか知らない人が私のこと呼んでるんですけど。

 私、人見知りですし、しかも初対面なのに命令口調で呼びつけられるので、めちゃくちゃ恐いんですけど」


「あっ、それわたしも分かる。

 あの人、何か偉そうだよね。たかが人間のくせに。

 いっそのこと、天国だと嘘言って地獄に落としちゃおうか?」


「って、おおおおいっ!!!

 聞こえてるからね?! 全部!!!

 人見知りのシリーなんて聞いた事もないよ。

 まったく。

 じゃあ、いいよ。

 今度はあんたの声で、命令してくれ。

 今から言う事を声に出して言って欲しいんだ。

 行くよ?」


 聞いた悪魔(女神)は、ひとつ頷いた。


 俺「Hey、シリー! 『金のリンゴ』を調べて?」


 女神「Hey、シリー! 『金のリンゴ』を調べて?」


 シリー「Hey、シリー! 『金のリンゴ』を調べて?」


「違―――――――――う!!!

 シリー!!!

 俺はお前に言ったんじゃないよ!

 なんで今度は俺の言った事、そのままストレートに受けちゃったの?!

 シリーが、『Hey、シリー!』っておかしいでしょうがっ!!!(怒)」


「女神さま、私、やっぱりあの人、恐いんですけど……」


「うーん。じゃあ、もう地獄に落としちゃおうか?」


「はい―――――――――!!!

 はい! はい! はい! はい! はい!

 分かりました。もう、本当に分かりました。

 大丈夫です。

 『金のリンゴ』の情報は、もういりませんから。

 俺は恐くないですよ。全然、恐くな〜い。

 だから、地獄は止めましょう。

 そこに落とすのだけは本当に止めて下さい」


 俺は、金のリンゴをあきらめた。







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