賽の河原で石をツムツム2
場面は変わり、再び賽の河原の地獄へ。
「ねえ、ねえ、親分。
ボクたち、いつまでこんなことを続けなくちゃいけないんですかい?」
そう聞いてきたのは、俺のすぐ横で同じく石を積み上げていたドザエもん。
「うるさいっ! この裏切り者!!!
お前は今頃、コーラ飲んでアニメ観てるんじゃなかったのかよっ!!!」
「まあまあ、そんなに怒らないで下さいよ。
親分たちとボクは一蓮托生。
一緒にこっくりさんした仲じゃないですか?」
「誰が親分やねんっ!!!
もうお前のことは絶対に信用しないからな!!!」
そんなやり取りをしていると、なにやら男性と女性がもめている喧騒が聞こえて来た。
「だから、分かりませんといっているじゃないですか!」
「いい加減にしてくれ!
そんな難しいことじゃないんだって!
ただ、そこら辺の石を積むだけなんだってさ!」
よくよく聞くと、前者が女神アクエリアス、後者が賽の河原地獄担当官の鬼。
「何で石を積まなくちゃいけないんですか?
何を基準に石を選ぶんですか?
明日の天気は晴れですか?」
「だから、さっきからずっと言っているだろう!
ここの地獄では皆、石を積むのが常識なんだって!
基準になるかどうかは置いといて、始めは大きい石!
明日の天気は……、そんなのここは地獄だから関係ないのっ!!!」
「常識って何なんですか?
マイノリティの意見だからといってそれが間違っているとは言えないはずです。
大きい石って、メートルで表記すると閾値はいくらになるんですか?
地獄だから天気は関係ないのならお天気お姉さんはどこに就職するんですか?」
「あああああああああああああ!!!!!
もう、うるさいっ!!!
とにかく、順序立てて教えるからまずは適当にそこら辺に座ってくれよ!!!」
「座るのは、右足からですか左足ですか?
それは、命令ですか?
だとしたら何の権限があって命令してるんですか?
ちなみにわたしは靴下を右足から履く派です」
「ウギギギギギギギーーーーーィ!(歯ぎしり)
そんな派閥なんて、どうだっていいんだよっ!!!
よしっ!、分かった!!!
俺が今から少しだけ見本を見してやるからその通りにやれよっ!」
そう言うと鬼は、適当な位置に座り込み目に付いた石に手を伸ばした。
「いいか?
まずは、辺りを見渡してみてその中で一番大きくて平たい石を選ぶ。
土台となる基盤がグラグラして不安定だと、ここに石を積んでもすぐに崩れてしまってなかなか高く積むのは難しくなるのだ」
「ふむふむ」
女神は相槌を入れながら真面目にメモを取り始める。
そして、鬼は石積みのポイントになる作業を説明しながら実演して石を積み始めた。
一時間後
鬼は額に流れる汗を手で拭って一息つくと気が付いた。
「あっ?! あれっ?!
何で鬼監督の俺様が石を積んでいるんだ?」
ガッシャーーーーン!!!
その瞬間、女神は鬼が建てた立派な石の建造物を思い切り蹴った。
「あああああああああああああ!!!!!
なっ、何をするんだよ!!!
俺の最高傑作が!!!(涙)」
「あら、ごめんなさい。
足が滑ってしまって……。
でも、こんな時はどうしたらいいのですか?」
「えっ?
こんな時……?
えっと、うーん……、こういう時は、怒りをぐっとこらえてまた積み始めればよいのだ。
まずは、また土台選びからやり直す。
うんうん、これくらいのなるべく平べったい石を選んで置く。
次に……、(繰り返す)」
鬼と女神の立場が逆転した。




