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賽の河原で石をツムツム

 俺は今、(さい)の河原でただひたすらに石を積んでいる。

 近くには大きな鬼がいて、積んだ石がある程度高くなると金棒で叩き壊された。

 そしてまた、一から石を積み始めてやり直すという作業を無限に続ける『賽の河原地獄』。

 周りを見渡すと同じように石を積む悲痛な表情をした死人が何人もいた。

 なぜ、俺がこんな事をせねばならぬのか?


 俺は、閻魔大王に判決を言われたさっきの場面を思い出していた。



 ほんの数時間前……、


「地獄めぐりのフルコースっていったい何なんだ?」


 グルグル巡る頭の中、目の前の閻魔大王を前にしながら俺は悪い予感しかしない疑問をひとつ口にする。

 それに答えてくれたのは、俺とは対照的にいやらしく笑うパンナコッタ。


「ケ~ッケッケッケッ(笑)

 これは、愉快愉快。

 低能のおどれに特別に教えてやると、これは地獄にある七つの拷問をすべて受けさせるという刑じゃ。

 この地獄で最も苛酷と言われるこの刑罰、とくとその身で味わうが良いわいっ!!!」


 それを聞いて俺の気力はダダ下がり、両膝を地面について頭を項垂れた。


「安心して下さい。ダーリン。

 わたしは、あなたについて行きますわ。

 夫がカブトムシ以下のゲス人間だとしても、この物語のヒロインですからね」


 そう言ってくれたのは女神のアクエリアスだ。

 最後の一行は何か引っかかるけど正直、心が救われた気分がして涙が零れる。


「そうだな。

 私にも元英雄『電撃の魔剣姫』として、誇りがある。

 同じパーティーの仲間が行くと言うならば、私も共に行くのが筋というものだろう。

 例えそれが本物の地獄だろうがな」


 続いてくれたのは、手拭い一枚で半裸のオリビア。

 俺の目からは加速して涙が精製され、地面をポツリポツリと濡らしていった。


 だが、そこにドザエもんの軽薄な声が割って入った。


「いやあ、良かったじゃないですか。

 地獄へ落ちるというのに、一緒に付いてきてくれる仲間がいるなんて。

 ボクには、そんな人なんかいませんよ。

 そして、ボクはこれ以上、アンラッキーなあんたらなんかに付き合ってられません。

 ボクは、あなた方が地獄で苦しんでいる間、現世でコーラを飲みながら流行りのアニメでも観ていることにします。

 まあ、その下らない人生を償うまでせいぜい三人で頑張って下さいよ」


 いけしゃあしゃあと言ったドザえもんに腹が立ったが、そこへ閻魔大王が言い放った。


「いや、そちは普通に地獄行きじゃよ」


 ドザエもんは、白目になってしばらく間、動かなくなった。(ちーん♪)






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