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朽ち果てた教会

 これから語ることは、俺が見たことではない。

 いわゆる神の視点(三人称視点)というやつだ。


 場面は、市外区にある放棄され荒れはれた、ある教会の薄暗い廃虚に移る。

 建物の形は残っているものの何十年も使用された形跡もなく、信者が座る為の長椅子が数脚並び、その奥にはボロボロに腐りかけの木材で出来た教壇がひとつ。

 その教壇には、二本のろうそくとそれに挟まれる位置に十字架を背にした美しい女性の小さな銅像が置いてある。

 今、その銅像の前で片膝を付き両手を合わせて握りながら祈るように額にあてる男がひとり。

 そして、その男をろうそくの薄い明かりで照らし出しているのは、この世のものとは思えないほどの息を吞むような美しい顔立ち。肩まで伸ばす輝く銀髪に神々が創られたような目鼻立ち。恐らく、女性はもちろんだが男性も一目、見ただけで心臓が高鳴るのを抑えることが難しいだろう。

 男は、俯いた姿勢から顔を上げると目を開けて、壇上にある小さな女性の銅像を見つめるとこう言った。


「ああ、敬愛なる水と慈愛の女神『アクエリアス』よ。

 どうか、わたしにあの方を救う道しるべをお示し下さい」


 そう。祈りをささげたのはあの黒装束の男。


 彼こそは、『裏切り者の英雄』である。


 だが、シリアスに意味深な言葉を口にするものの、その上半身には黒装束の上にピンクのフリルのブラジャーを付けていた。


 そう。彼はズボンをはくつもりが何故か、ブラジャーを付けてしまったのだ。


 もう一度、言おう。


 彼こそは、『おっちょこちょいのツトムクン』である。

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