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伝説の魔王

 オリビアの語る知ってる限りのおとぎ話は、その後3時間半ほど続いた。

 話が長すぎるので要約すると、お婆さんが発見した暗黒物質はその後、全く出番はなく、問題はお爺さんが付き合っていた愛人の歯科医師助手(巨乳)が妊娠してしまうことで事態は急展開を迎える。彼女が絶対に子供を産むと言い張ったのだ。お婆さんと別れて自分と結婚するように懇願する歯科医師助手。だがお爺さんは、その場しのぎで良い返事をするものの中々行動に移さず結論を出さない。業を煮やした歯科医師助手(巨乳)はお爺さんの家に乗り込み、不倫をしていた事実をお婆さんに告げる。ショックで鼻水を出すお婆さん。しかし、それでもお婆さんは別れることに同意せず、それよりも不倫の慰謝料として多額の賠償金を請求されてしまう巨乳(歯科医師助手)。「そんなお金はありません」と言って断わると今度は弁護士を雇うからそのつもりでいろと脅されてしまう。静かにうなだれ泣き寝入りしたかに見えた巨乳。と、次の瞬間、持ってきていたハンドバックを鷲掴むとその中からべヤングの超極辛ソース焼きそばを出した。そして、お爺さんとお婆さんの前で台所を借りてお湯を沸かし注いで三分間待ってからお湯を切り、ソースと極辛調味料を入れて完成。「死んでやるーーー!!!」とひとつ叫んでからその激辛焼きそばを食べようと口に運ぼうとした瞬間、ドンッ!!!。突き飛ばされて床に這いつくばった。そして、自分がいた場所を見上げてみると、そこには口から麵をはみ出させたお爺さんが。数秒後、その辛さにやられそのまま、ゆっくり仰向けに倒れる。慌てて駆け寄る巨乳とお婆さん。だが、「ワ…、ワシが、ぜ、全部、悪かった……」最後の力をふり絞りそう言葉を口にするとそこでお爺さんはこと切れてしまった。その後、救急車とパトカーが来て歯科医師巨乳は、危険物激辛べヤング致死量所持及び無免許調理容疑で逮捕されてしまう。警察内での取り調べでは、全てにおいて黙秘を貫いた。「このままでは、被害者への殺人容疑もありえますよ! 生まれてくる赤ちゃんを殺人犯の子供にさせてもいいのですか?!」いらだちと共に子供の将来を心配した熟年の刑事の言葉も彼女にはまるで聞こえてはいない。懲役7年3ヶ月。それが彼女が黙秘して現実から目を背け続けた代償だった。お産は、刑務所から移送された警察病院で滞りなく行われたが、彼女は赤子を抱くこともなく今後の育児についても放棄。赤ちゃんは退院後そのまま施設に送られることになった。それから、五年経った桜が舞い散るある日、5歳になった少年の元に母親を名乗る女性が現れる。彼女は法的な手続きと書類を提出して自分に権利があることを示して施設から子供を引き取った。帰り際に施設の院長から「なぜ、あなたが?」と問われた質問に彼女はしばらく間をおいて「子供に罪はありませんから」と答えたという。こうして、5歳になった親を知らない子供と未亡人のお婆さんの生活は始まったのだった。


俺 「これ、おとぎ話じゃなく、昼ドラっ!!!」



つづく

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