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そして、たどり着いた場所 その7

「はあ~(ため息)。

 おぬしと話してたら何だかわし、バカバカしくなってきたのじゃ!」


 目の前の神様は、明らかにがっかりした様子で肩を落とした。


「まあ、そんなにおっぱい以外のことを考えてもしょうがないですって。

 能あるメスは胸を隠すって言うじゃないですか?」


「いやっ! 全然、意味が分からないのじゃ!!!」


「俺も、まだ小さい頃、よく考えてました。

 なんで俺はブラジャーに生まれてこなかったんだろうって。

 ブラジャーに生まれて来たらこんなにも狂おしい思いをしなくても良かったのに……。

 でも、ちょうど二十歳の誕生日の時に気付いたいんです。

 もし、ブラジャーだったらそもそも揉みたいという欲求がないんじゃないかなって」


「二十歳で気付くのが遅すぎるしブラジャーに欲求どころか脳みそもないのじゃ!」


「だから、もしかしてそんなことが考えられる今が、実は一番幸せなんじゃないかって思うんですよ」


「ズッッッガビーーーーーーーーンッ!!!!!」


 突然、神様は雷に打たれたように鼻水を出して硬直した。


「あれ? 神様、どうしたんですか?」


「い、今、言った言葉……」


「えっ? ブラジャーに脳みそがないってこと?」


「バカたれーーーっ!!! 違うわっ!!!

 『そんなことを考えられる今が一番、幸せなんじゃ』ってとこ!!!

 それが、わしの胸にぐっさりと刺さったんじゃいっ!!!」


「えっ? あ、はあ……。

 でも、俺、さすがに幼児の胸にはちょっとだけしか興味ないですよ」


「ちょっとだけでもあるんかいっ!!! 恐いわっ!!!

 わしが言いたかったのは今、こうして自分自身に自信がなくなって、藻搔き苦しみながらも書き続けられるのは、むしろ幸せなことなのではないかと思ったのじゃ!

 この原動力には、少ないかもしれないけどこの小説の続きを待ってくれている人達がいるという事実。

 わしは、己の欲望に目を奪われてその大切なことを見失っていたのかもしれぬ。

  そもそも、物語というものは苦難ある環境で必死にもそれに立ち向かい生きる者達を描いたもの。人々は、その生き様を見て共感したり感動したりして明日への希望と生きる力へと変えるのじゃ!

 わしは、物語を書いておきながら自分のことばっかりでその大切なことを忘れておった。

 ほんの些細な心の迷いで、わしは書くことを止めようとしていたのじゃ!」


「うーん、よく分からないのですが、少しおっぱいの話題から逸れてますよ」


「誰がおっぱいの話をしてるねんっ!!!」













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