そして、たどり着いた場所 その6
「うーん、神様の世界のことはよく分からないんですけど……」
俺は、神様から現状の話を聞くと、上を向いて腕を胸の前に組み、ひとつ呻いてみせた。
「少し考え過ぎじゃないんですか?
俺なんて、未来に望んでいることと言ったら、いつか美人のおっぱいを思い切り揉んでみたいってだけですよ」
「……、うん、知ってる」
「第一、他の人が成功するのを見て、羨ましくなったり僻んだりしても別に良いんじゃないですかね?
人間だもの(byみつお)」
「……、いや、わし、神なんじゃけど」
「そんなんで凹んでいたら何も出来なくなっちゃっいますよ。
どうせ悩むならもっと前向きで生産的なことに考えを持ってゆけばいいのに。
例えば将来、千載一遇のおっぱいを揉めるシチュエーションが来た時、先端から攻めるのかそれとも全体を鷲掴みするのかとかです」
「えっと、まあ確かにおっぱいを揉んだその先に生産性があるのじゃけど……」
「一言でおっぱいと言っても、AAからGカップ。はたや、EやI、Hまで。
色や形に弾力性と様々なタイプがあるわけで、いざ揉めるその時に冷静に判断してそのタイプに合わせた行動に移れるかどうかは、自分がどれだけおっぱいの事をより真剣に考えてこれたのかが成功のカギになるはずなんです」
「せ、せいこうのカギ……」(←意味が違う)
「仮に今、千葉デスティニーランドで迷子になっていた自称18歳のツインテールの幼女がお母さんを探してくれたお礼に揉んでも良いよとそのAAカップの胸を俺に押しつけてきたとします。
もし、神様ならばこの後、どういう行動に出ますか?」
「……、さりげなく触る?」
「ブッ、ブーーーッ!!!
はずれですっ! それ、やったら一番ダメなやつですっ!!!
確かに一見すると幼女のAAカップは初心者向けの触っても大丈夫なお胸の感じがするでしょう。
でも、それが落とし穴なんです。
お忘れじゃないですか? その迷子だった幼女のお母さんの存在を」
「……」
「もし、そこで欲望のままに幼女の胸を触れたとすると、どうなってしまうでしょうか?
恐らく、そのお母さんがすぐさま呼んだ日本の屈強な国家公務員達が俺のことをロリコン犯として捕まえようとやってきます。
デスティニーランド内に突如、鳴り響く何台ものサイレンの音と怒号。
『フリーーーーズッ!!! 止まらなければ、撃つぞっ!!!」
しかし、そこで捕まれば北の地にある塀の中へぶち込まれるのは必至。そこはおっぱいの存在しない男だらけのワンダーランドだ。
『もっと大きなおっぱいを揉むまでは絶対に捕まってたまるものかっ!!!』
拳銃で撃たれた足を引きずって、なんとか身を隠せそうな建物にたどり着いた俺。
その中にはプログラムにより同じ動きを繰り返す気味の悪い人形たちと『世界はひとつ~♪ みんなは仲間~♪』と無責任に言い放つ大音量の歌と音楽が流れていた。
『フフッ(微笑) 本当にそんな平和な世界になればいつか俺はおっぱいを揉むことが出来るのかな?』
俺は、コミカルな動きをする七人の小人の八人目として、その動きを正確にトレースしながらロボット達に擬態して身を隠す。
しかしその数日後、出血と疲労によりとうとう力尽き、ロボット達が踊り楽し気な音楽の中、ひっそりと死を迎えるのだった」
「えーと、おぬしの方がよっぽど考え過ぎなのじゃ!」




