そして、たどり着いた場所 その2
「はあ、神様ですか……。
でも、神様ならもう女神のアクエリアスというのを知ってて、もうお腹いっぱいなんですけど?」
俺は、ファミレスにいるこの可愛らしい子供がどうにもそんな尊大な存在だとは思えず、試しに女神アクエリアスの名前を出してみた。
「ああ、あの子?
あの女神はねえ、わしが創ったのじゃよ。
ちょっと頭の中身を失敗しちゃったけどね。
てへぺろー」
そう言って片目をつむりべコちゃんのように舌を出す仕草は、無邪気でとても愛くるしい。
「うーん、ということは、アクエリアスよりももっと上位の神様ということですか?」
「うんなのじゃ!
一応、おぬしから見えるこの世の全ては、わしが創造したものなのじゃよ」
そんな途方もない内容を言っても、机の上にあったクリームソーダを飲む姿は完全に幼児そのもの。頭に浮く金のリング以外はその片鱗も感じられずだ。
「あっ! わしだけ、すまぬのじゃ! なんか飲む?」
気を利かせた神様がそう言った時、いつの間にか俺のすぐ横にウェイトレスが立っていたので少しビックリした。
「あっ、じ、じゃあ、アイスコーヒーで」
何も言わずに立ち去る忍者のようなウェイトレスの背中を見送ってから再度、美味しそうにクリームの部分をスプーンで食べている神様の方を向いた。
「それで、その偉い神様が俺なんかの前になんでいるのですか?」
すると、神様はクリームソーダを食べていた手をピタリと止めた。
顔を見ると、今度は何だか浮かない表情に変わっていた。
「はあ~(ため息)、それなんじゃけど……。
実はわし、いま、すごく悩んでいることがあるのじゃ。
それで、ちょっとおぬしに相談に乗ってもらおうかと思って」
「何でも出来るはずの神様が悩み……、ですか?
うーん、こんな俺に何ができるか自信がないけど、聞かないわけにはいかないんですよね」
それを聞き、恵ノ神様は自分で確かめるようにゆっくりと頷くとこう言った。
「わし、そろそろこの『異世界(物語)』を終わらせようと思うのじゃ」




