異世界こっくりさん、開催!!! その3
「全国こっくりさん選手権なんて、そんなものあるかいっ!!!」
俺が言ったのに対して、したり顔のドザエもんが答える。
「それが、あるんだなあ~。なんたって、このラノベは異世界もの。
作者が思いついたものなら何でもありの世界だからね」
「バカヤローっ!!! 登場人物が異世界ものって言うなっ!!!
また、読者にクレームの感想を書かれるからっ!!!
また、作者が涙で枕を濡らすからっ!!!」
「フフフ(笑)
まあ、そんなくだらない事はどうでもいい。
それじゃあボチボチ、本気を出させてもらおうかな」
不敵な笑みをしてそう言ったドザエもんは、とても大きく息を吸い込んだかと思うと、大声で宣言した。
「その目にしかと焼き付けて、恐れおののくがいいっ!!!
6年3組こっくりさん同好会裏千家、最終奥義っっっ!!!
ダブル燕返し、『ワン! ツー! ドーン!!!』」
仰々しい必殺技らしき名前に俺達三人組は、何が起こるのか身構えた。
ドザエもん「ONE!」
そう言った直後、俺達の押さえている十円玉から突然、YESへと移動しようとする力が消えた。
オリビアは慌てて十円玉から指を離さないように力を込めるのを止めた。
ドザエもん「TWO!」
次に今度は、ドザエもんが力を抜くどころか十円玉を逆の方向へ少しだけ引いた。
俺達は、十円玉から離れないように指でそれを必死に追いすがることだけに意識を持ってかれる。
ドザエもん「ドーン!!!」
三人組「「なっ、何っ!!!」」
その瞬間、ドザエもんが人差し指に全力を込めて十円玉を押し込んできた。
俺達は、十円玉から力を抜いていたので動きを止める為の時間がわずかに遅れてしまいその分、十円玉を前よりも前進するのを許してしまったのだ。
「ワッハッハー(笑)
どうだい? ボクの進行不可避の必殺技『ワン! ツー! ドーン!!!』の威力は?」
「ぐ、ぐぬぬ……(苦い顔)」
「そう! その顔さ! ボクが見たかったのは。
そのどうしようもないと悟った時の悔しそうな顔。
フフフ……(笑)
アーハッハッハ(大爆笑)
さあ、もっともっとその顔を歪ませるがいい!
『ワン! ツー! ドーン!!!』
そして、
『ワン! ツー! ドーン!!!』
からの、
『ワン! ツー! ドーン!!!』
で次は、
『ワン! ツー! ドーン!!!』
さらに、
『ワン! ツー! ドーン!!!』……」
「ぐ、グオオオ!!!」
指先に力を込めて十円玉の進行をくい止めようと力を込めるも、ドザエもんが『ドーン!!!』と言うたびにジリ、ジリリとその位置はYESの文字へと近づいて行った。
(つづく)




