異世界こっくりさん、開催!!! その2
ビタリッ!!!
こっくりさん儀式用のシート上で勢い良く動き出したはずの十円玉が急停止して、YESと書かれた文字の手前で張り付いた。
「これはどういう事ですかな、オリビアさん?」
ドザエもんは冷静な口調で尋ね、それにオリビアは答えた。
「私に恥ずかしい性癖などあるはずがないだろう!
第一、そんな質問なんて予定にないっ!」
見ると十円玉に乗せていた人差し指につづく腕がプルプルと震えている。
「いけませんねえ。
自分の性癖がバレるのが恥ずかしいからって力ずくで十円玉を止めてしまうのは。
こっくりさんの禁則事項ですよ」
「私は十円玉に力なんて入れてないぞ! そんな証拠がどこにあるっていうんだ!」
「フフフ(笑)
子供のようなかわいいウソをつくじゃないですか。
では今、あなたの十円玉に乗っけている人差し指の爪を見てごらんなさい」
「なっ、何っ!!!」
ドザエもんが言う通り、オリビアの爪を見るとそれは肌色から白色に変色していた。それは、十円玉を止める為に指先に力を込めている証拠に違いなかった。
「くそっ! だが、お前も十円玉を動かす為に人さし指に力を込めているはず。だから、お前の爪の色も……、い、いろ……も……(動揺)」
「ボクの爪の色がどうかしましたかねえ。オ・リ・ビ・アさん?」
主人公を追い詰めた悪徳領主のようにいやらしく言うドザエもんの爪の色は、力を込めている白ではなく綺麗なピンク色であった。
「ぴ、ピンク色だと?
ということは、ドザエもんは指に力を込めてないというのか?
この十円玉は、本当にこっくりさんの力で動いているというのか?」
顔色を青ざめて疑心暗鬼に囚われたオリビア。それに向かいニヤニヤといやらしい表情を浮かべるドザエもん。
「いや、待つんだオリビア。これは何だか様子がおかしい……。
このピンク色がドザエもんに似合わず綺麗過ぎるんだよ。
これは……、そうっ!!! 女性用化粧品のマニュキュアだっ!!!
だが、この部屋に入って来てからはマニュキュアを塗ってる時間なんてなかったはず。
ということはこのドザエもんは……」
俺がそう言いかけた時、ドザエもんは口元を一度ニヤリとさせると不敵にも笑い始めた。
「フフフ……(笑)
フ――――ハッハッハッ!!!(大爆笑)
そう、その通りっ!!!
ボクはこの部屋に入る前……、いや、東門でキミ達に会う前からこの状況に持ち込むのがボクの狙いだったのだよっ!!!」
三人組「「なっ?!!!」」
「さあ、これからはずっとボクのターンだ!
小学生の時、全日本こっくりさん選手権で県大会予選3位まで行ったこの実力、存分に味わうがいいっ!!!」
(つづく)




