八十八服目 Play Back High School(4)
まさか、入学早々……立て続けに嬉しい再会をするとは思わなかった。
え、ロブなんとか?
あいつはお呼びじゃないからノーカンね♪
とにかくこうして私の高校生活はスタートした。
なんだか物騒な始まりではあったけれど、璃奈と霧彦クンの朝の会話のおかげですっかり毒気が抜けたのか、朝の騒動をキッカケとして、ロブなんとかをぶっ飛ばした子……陽とも仲良くなれた。
もう、運をほとんど使い果たしたんじゃないかってくらい嬉しいスタートだ。
霧彦クンが、三年間眠り続けた事。
そして昼食を女子三人で食べた時に判明した……霧彦クンの、目が覚めなくなる前の記憶の喪失については……時々、その話題が出る度に責任を感じて、ちょっとブルーになったり、璃奈と霧彦クンのやりとりを見ていて……胸がモヤモヤしたりするけど。
でも、比較的私のJKライフは順調な出だしだった。
※
「あなた、今……男女関係に悩んでいますね?」
しかしある日。
璃奈と陽と一緒に下校していて。
それで偶然にも霧彦クンと、帰るタイミングが合って。
それで、途中で陽と別れて、そして次に私が、璃奈と霧彦クンと別れて、それで一緒に帰る事になった璃奈と霧彦クンを見て、またしても胸がモヤモヤしてしょうがなかった……その時だった。
私に、そう声をかけてきた人がいた。
言い方からして、なんだか怪しげな部活やサークルや宗教の勧誘っぽくて、私は一瞬身構えたけれど、でもその人の目を見ている内に、どうしてだか、この人だけは信用できる……そんな気持ちになって。
気付いた時には、私は……その人が率いる煙草の密売組織の一員になっていた。
※
あの人……マスターが授けてくれた煙草は素晴らしかった。
薬物を打たれた幼少期は感じた事がない爽快感が私の体を駆け巡り、意識だけでなく、私の中の隠れた才能までをも覚醒させる。
もしかすると私は、薬物ではなくこの煙草を摂取するためだけに生きてきたのではないか。ならば幼少期に薬物を打たれた時に、そこまで快感を覚えなかったのも納得ではないか……そうとまで思えるようになった。
※
組織に入って約一年。
私はさらに変わっていった。
璃奈への気持ち。
霧彦クンへの気持ち。
そして、私自身はどうなりたいのか……煙草を用いた、幾度もの儀式を通じて、それらの整理がついて、私はさっそく行動に移した。
もっとみんなと仲良くなりたくて。
もちろん、私を結果的には助けてくれた陽とも仲良くなりたくて。
三人で一緒にオシャレをしたり、遊びに行ったり……とにかく私が思い描く理想の未来に向けて、私は全力で青春した。
なぜかほぼ同時期、マスターが陽の家には警戒していろと言ってきたけど、独断でその命令は無視した。確かに私は、私が変わるキッカケをくれたマスターには感謝しているけど、だからって私の友人関係にまで口出ししてほしくなかったし、今の関係を変える気はなかったから。
とにかく、私は私自身の幸せのために……みんなとこれからも仲良しでいられる未来のために、頑張って………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………でも。
※
あのメキシコ人が。
私のお父さんが死ぬキッカケになったあのおじいさんの孫が、私達の前にやってきて…………私は、平静ではなくなっていった。




