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  三十二服目 怪氣学園S(8)


「とりあえず」

 カノアはパイプ煙草の煙を一度吸って吐くと、今度はそのパイプ煙草を璃奈へと渡した。


「ワシの煙草の力で、霊能力を増幅して……一緒に念力を使ってみるのじゃ!!」


「…………は? 念力って、あの念力?」


 まさかの単語が出て、璃奈は目を点にした。

 幽霊や霊能力などの、霊的なモノが今まで出てきたのに、ここに来て、幽霊絡みとは思えない単語が出てきたのだから当たり前か。


「そうか。騒霊現象(ポルターガイスト)の原理か」

 しかし霧彦は、すぐにカノアの考えを理解した。


「どういう事だ、風紀委員?」

「俺らマジでイミフなんだけど」


 意識を取り戻した須藤の取り巻き達が、手を上げて質問してきた。

 霧彦は、どうすれば彼らに理解してもらえるかを考えながら、口を(ひら)いた。


(じつ)(ぞく)に言う騒霊現象の原因は、その場にいる思春期の少年少女による念力ではないかという仮説があるんだ。思春期っていうのは、心が揺れやすい時期だろ? そんな彼らの思念波が、物理的に作用して物が動くってワケだ」


「詳しいね、風紀委員」

「意外ー! 霧彦クンってもしかしてそういうの好きなのー?」

 陽は唖然としながら、美彩は興味津々な顔で霧彦に訊いた。


「クロードくんのオカルトな事情が判明した時から、多少は調べた。クロードくんが俺達にはよく(わか)らない事をし始めてもすぐに対応できるようにな」


 霧彦は肩を落としながら答えた。

 なんというか霧彦、ご苦労様である。


「な、なんか失礼な事を言われた気もするが」

 カノアは霧彦の言葉に、なんか引っ掛かりを覚えたが、気を取り直して「よし、じゃあ伝説のシロギャルよ……やるぞォ!!」と掛け声を出した。


「白ギャル言うな!!」


 そして二人は、同時に体育館倉庫へと気を集中して――。


     ※


「あ、あと……あと少しって……気はする、のじゃが……ッ」

「お、おい……まさか……またやれっつうんじゃ……ねぇ、よな……ッ?」


 カノアと璃奈は体育館倉庫内のマットの上でバテていた。

 思念波を全力で使った影響で、脳がオーバーヒートしてしまったのだ。


「さ、さすがに……ワシはッ……そこまで、鬼じゃない、のじゃッ」

 なんとか息を整えながら、カノアは答える。


「何度も、使えば……脳が、焼き、切れる……これ以上は、できぬ……じゃから、ここからは……みんなで、蹴破るのじゃッ」


「おおっ! ドアの蹴破りか!」

「刑事ドラマとかで見て、一度はやってみたいと思ってたんだよな!」


 須藤の取り巻き達はウキウキ気分で答えた。

 閉じ込められているのにどうしてそこまでテンションを上げられるのか。


「ちょ、()()()()()()()()()()()()()()?」

 するとその時、陽は(けわ)しい表情で挙手(きょしゅ)した。


「学校行くって言うから、一応警備員に変な目で見られないようにさ」


「いやちょっと待つのじゃ!?」

 カノアは意見した。


「という事は貴様ら、普通に下着を穿()いているのか!? なぜにアンダースコートとかを穿()いてこないのじゃ!?」


「校内でここまで本格的なアクションをするなんて、誰も思わないと思うけど?」

 しかし美彩によって反論され、カノアは口を(つぐ)んだ。


 どこまでも正論だ。

 なにせ襲撃がない場合もあるのだから。


「じゃあ男子、とりあえずアタシらとは反対の方に向いてドア蹴って」

 なんだかまた嫌な空気になりかねない気がして、璃奈は提案した。


「これならいいでしょ、美彩?」


「…………うん。そうだね、アリガト璃奈♪」

 少し考えた素振(そぶ)りを見せたが、美彩はすぐに笑顔で納得してくれた。


「ちぇ」

「なんだよ」


「オイ、さすがに()(ちょう)しろよ」

 須藤の取り巻き達をジト目で見つつ、霧彦は女性陣の蹴りが万が一にも、須藤の取り巻き達に見られないよう、進んで男性陣と女性陣の間に入りそう言った。


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[一言] 霧彦、有能ぅ!!w
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