十八服目 探偵部結成!?
全てを話し終えた後、カノアは緊張した面持ちとなった。
本来彼女を始めとする存在は、裏社会にて活動していなければならない存在だ。しかし身内の起こした問題が表舞台を徐々に侵食し始めているがために、こうして彼女は転校という手段を取らざるを得なくなった。
潜入捜査という目的のための、転校という名の手段を。
つまり彼女は、今まで……と言ってもまだ日は浅いが、今までの高校生活は潜入捜査のための薄っぺらいモノだった、と言ったも同然なのだ。さらに言えば、事件が解決すれば、それまで築いた関係性が全てなかった事になる……遠回しに彼女はそう言ったのだ。
というか逆に、なかった事にしなければいけない。
でなければ、次回からの任務の時、それが自分の弱点――不完全なる煙草を悪用する者達の付け入る隙となってしまう。
しかし理由はどうあれ。
彼女は同級生を裏切ったも同然の行為をした。
だからカノアは、緊張した面持ちながらも覚悟した。
今までの任務でも、彼女は何度か、関わった相手に裏の仕事をうっかり見られた事がある。だから今回も、その時と似たような事が起こると、覚悟していた。
※
――…………う、胡散臭ぁ~~~~ッッッッ!!!!
しかし、カノアの心配とは裏腹に、璃奈と陽と霧彦は……彼女の想定の斜め上な心境だった。
確かに同級生を騙していた事には腹が立つが、それ以上に彼女の身の上が、それらが霞むほど、あまりにも厨二病だったせいだ。
いや確かに、幽霊らしきモノの目撃情報や、璃奈が吐いた紫煙による回復という奇跡があったが……だからと言って全てをいきなり信じろというのは無茶な話だ。
そもそも神様が登場する時点で、なんらかのトリックを用いた宗教の勧誘である可能性も否めないのだから。
「…………許してくれとは言わない」
しかし霧彦達が、そんな複雑な心境である事を知ってか知らずか……カノアは、呟くように言った。
「ワシは風紀委員達を、不完全なる煙草を売買している連中を捜す潜入捜査のためのカモフラージュとして利用していたのじゃ。罵倒されても仕方ない。というか、連中を捜し出す前に、事は起きてしまった。そしてそれを解決した事により、ワシの存在が連中にバレて……風紀委員達を巻き込んでしまった。本当にすまないッ」
そして謝罪と共に、彼女は霧彦達へ……悲しみで顔を歪ませながら頭を下げた。
A組で起きた事件の事か。
カノアの話から、霧彦達はすぐにその事に気付く。
同時に、不完全なる煙草を売り捌いている連中が見つかっていない以上……また同じような事件が起こる可能性にも。
「……クロードくん」
その事実に一番早く気付いた霧彦は、おずおずとカノアに言った。
「俺達を利用していた事は確かに許せないけど……それ以上に、その売り捌いてる連中が気がかりだ。風紀委員として看過できない。できれば協力させてほしい」
「はぁ!? 霧彦!?」
幼馴染のまさかの台詞に、璃奈は驚愕した。
まさかこんな荒唐無稽とも言える事案に介入するとは、と。
「まぁ確かに、カタギだなんだと線引きして……黙ってたりしたのは人として許せないけどさ」
今度は陽が口を開いた。
「それ以上に、麻薬より厄介な煙草が売り捌かれているのがもし事実なら……今の内に潰しとかないと、余計厄介な事件が起きかねないし……私も協力するよ」
「はぁ!? 陽もぉ!?」
まさか友人もそんな事を言うとは思わず、璃奈は目を丸くした。
「はいはーい! 私も協力するよ!」
そして、美彩も手を上げつつ言った。
「カノアちゃんとは接点ないからカモフラージュとか実感湧かないけど、なんだか人知れず誰かを救う正義のヒーローみたいでカッコ良い!! ぜひ私も協力させてほしいな!!」
「美彩ぁ!?」
まさかもう一人の友人が、そんな理由で協力を申し出るとは思わなかった璃奈は口をあんぐり開けた。
「で、璃奈はどうする!!? チカラ、使えるんだよね!!?」
璃奈が全てを理解する前に、美彩は問いかける。
おかげで璃奈は最初、いったい何を言われたのかまったく分からなかった。
「うむ!! 確かに伝説のシロギャルはワシの次くらいに煙術の素質がある!!」
にも拘わらず、さらに話は進んでいく。
みんなの協力の申し出の影響か、元気を取り戻し始めたカノアによって。
おかげで璃奈の頭はパンク寸前だった。
「肌が白いって意味じゃ私と美彩も白ギャルな気がするけど」と何気に陽がカノアに意見していたが、それさえも耳に入らないほどに。
「だったらさ!! ここにいるみんなで探偵部を結成しない!!? 活動内容は、学内で暗躍する煙草の売人の捜索と無力化の!!」
「おおッ!! それは良いアイディアじゃ!! 誰が敵か現時点ではまだ分からんからのォ!! 協力をしてくれるなら、まず少数精鋭で活動をしたいのじゃ!!」
「…………もう勘弁して」
いい加減、頭が痛くなってきた璃奈であった。
カノア「番長殿。ワシのために体を張ってくれて、感謝する。これは、せめてもの礼じゃ」
゜゜゜゜゜-y(‐。-)。o0○ プハァー
カノア「せめて、良き夢を」
――――――ピンッ――――――――――ピンッ――――――――――




