表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海岸でタコ助けたらスーパーヒーローになっていた。 ~正義の味方活動日記~  作者: はらくろ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/70

第四十話 事件はどうだったの? そのに




「さて、此度の動機につきましてなのですが。容疑者の名は田中敦子――芸名、田中(すばる)。十八歳、独身、賞罰なし。容疑者が言うにはですね、『八重寺千鶴が憎かった』とのことでした」

「あらら。千鶴ちゃんが一方的に恨みを買ってしまったのかしら? 可愛らしいって罪よねぇ……。それで? 他に理由は?」

「はい。『本来であれば、あの配役は私に決まっていた。それなのに撮影数日前に突然変わるだなんて。どうせお金を積んだに決まっている』とのことでした」

「あー、……斉藤ちゃん。それってうちの責任だとしたら、回り回って結果的に斉藤ちゃんが、ね?」

「はい。言いたいことはわかります。ですが、私も譲歩案は出したんです。我が社との契約期間中は、漆黒の髪のままでいること。それを提案したのですが、それはできないと言われました。クライアント(おきゃくさま)を説得するのは、それは私たち会社側の仕事だと。こちらの編集部さんには前からお世話になっていますので、なんとかしてあげたい。かといって、うちの俳優で黒髪は一人しかいませんでした。達川礼子さんです。ですが、既に成人している礼子さんに、高校生の制服を着てもらうのはさすがに無理がある。という感じに、頭を痛めていました。そんなとき、千鶴さんを見かけて、彼女しかいない。そう思ったんですね」

「あー、そうね。礼子ちゃんは童顔だけど、さすがに十歳以上サバを読んでもらうのは可愛そう過ぎるわよね……」

「え? 達川礼子さんって」

「今年で二十八歳よ。十年もニチアサ第一線でやってくれているんだもの」


 確かに、千鶴も長い間ニチアサで見続けていた。どんなヒロインでもやりこなす彼女がかっこよくて可愛くて、ファンになったのを思い出したのだ。


「初犯なので執行猶予はつくかと思いますが、契約解除は免れません。幸い、どこのクライアントとも契約を交わしていないので、違約金が発生しないのだけは助かりましたね」


 その瞬間、斉藤と宝田だけは頭を抱える。


「……まいりました。せっかく昴さんのために、営業が江田島貿易薬品工業(エダボウ)のCMオーディションとってきたっていうのに」

「確か次点の子は、他の事務所と契約しちゃってるわよねぇ。まさかここも礼子ちゃんをなんて、無理でしょ?」

「えぇ、それはさすがに」

「そのオーディション、わたしが受けてみては駄目でしょうか?」

「このあと、一時間もないのよ? セリフも長くはないけれど覚えないといけないですし」

「暗記ものは得意ですから」


 宝田、斉藤、高山はスクラムを組むようにして相談し始める。何よりも今一番大事なのは、穴を開けないこと。会社の信用を落とさないこと。それが最優先である。


「そしたらアタシもついていくわ。斉藤ちゃん、いいわね?」

「はいっ。高山さんはこの現場任せてもいいかしら? 警察には何かあれば、オーディション終わったら私も一緒に出頭するわ」

「えぇ。現場(こっち)は任せて。二人はうちの大事な八重寺さんを守ってね?」

「もちろんよ」

「わかりました」

「え? 八重寺さんって、僕もですか? 疲れちゃったんで、ホテルで休みたいんですけど」

「ごめんなさいね、一八ちゃん。送っていくわ」


 千鶴はぎゅっと一八を抱く。斉藤はスタジオの裏手にハイヤーを呼んでもらう。


「大丈夫ですよ、千鶴さん。オーディションは、プリンセスホテルのホールですから」

「そうなんですね? 一八ちゃん。元気になったら見にいらっしゃいね」

「うん。お姉ちゃん」


 宝田、斉藤は、千鶴たちと一緒に、東京プリンスホテルへ。到着と同時に、最上階にいる祖母の静江に報告。なんとかオーディションに出る許可をもらえることとなった。


 時間は十二時半。オーディションは夕方の六時から。休憩してから準備したらいいと、千鶴も軽い食事を摂ってから仮眠することになった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ