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かいてきなたび 29

ブクマしてくれた方が220人を超え!12万PV突破!有り難う御座います。

最近学園が遠退いていますが、未だ……未だこれは3(時系列的に4)章前半です。

後半ももうじき開始するので、まだまだお付き合い下さい。

『俺らみたいな奴等』か………………。

まるで出会ったばかりのシェリー君の様な事を言う。

私としては、シェリー君は助けたが、この三人まで助ける義理は無い。

が、敢えて言うので有れば、愚かと言わざるを得ない。

『こうする他無い』?『仕方無い』?『自分みたいな』?ハハハハハハハハハハハハ!笑えるな!

私から言わせれば、勝ちと負けが存在するものならば、正解と不正解が存在する問題であれば、絶対に正解(勝ち)を導き出せる。

この世の全てに勝てる余地が存在する。という事だ。

が、かと言って、私は自分以外の人間に同じ事を強制はしない。

『諦めなければ絶対に勝てる。努力は絶対報われる。』とは言わない。

ただ、『たとえ絶対に勝てる力を持っていようが、諦めたら負けるしか無い。永遠に報われる事は無い。』

逃げるのは良い。構わない。

勝てない闘いに無駄に労力を割くのは得策ではない。戦略的撤退として有効足り得る。

が、諦めはそうではない。

諦めた時点で君達は醜く堕ちていく。

君達は地獄への下り坂を転がっているだけだ。

未来は無い。計算するまでも無く。

直ぐに破綻する。見ての通り。

まぁ、私には関係が無いからどうでも良いのだがね。

ただ、一つ訂正したいことが有るとしたら………。

『シェリーちゃんみたいな恵まれた環境なんて用意されてねぇ』

この一点だ。

勘違いも甚だしい。

笑え過ぎてモノも言えない。

シェリー君が恵まれている?馬鹿も休み休み言え。

監獄に閉じ込められ、看守は彼女を人とも思わず、同じ虜囚さえも毒牙を剥き、命さえも脅かす。

はっきり言おう、味方も居ない、支援も無い、逃げ場の無い所で殺人鬼幾百と延々闘い続け、生き残る事と同義だ。

お前達は何故シェリー君があそこまで感情露わに喜んでいたか何故解らない?

楽しかったからだ、嬉しかったからだ、シェリー君の日常には無い、仲間や笑いや楽しい食事という非日常が有ったからだ。

大男の言ったことは、たった独りで、無慈悲で、理不尽で、自分より圧倒的に強大な怪物の巣窟で必死に生き続けたシェリー君への冒涜に他ならない。

……………本来なら、私がここで出て、三人を蹴散らし、馬車を奪って見捨てていきたいところだが…………今回は少し訳が違う。

それは、先程シェリー君が馬車を準備していた時に(さかのぼ)る。



《回想開始》

「教授…………」

重々しく、辛そうな顔をしながらシェリー君は私を呼んだ。

それは賊との大立ち回りから来る心労ではない事は知っている。

「何かね?シェリー君?」

何も知らないふりをして敢えて問いかける。

「…………これから、少しの間、何かあっても私と交代しないで頂けますか?」

いきなり突飛な質問だ。

本来ならば、何を意図してシェリー君が言っているのかを知らなければ、その言葉の理由を根掘り葉掘り訊くだろう。

「良いだろう。」

即答した。

「有り難う御座います………………。」

《回想終了》

シェリー君はその後、馬車をあれこれと準備していた。

考えている。

決着をつけようとしている。

覚悟している。

それが解った。

だから、私は今、敢えて直接的に何もせずに傍観をしている。

さぁ、見せて貰おう。

理不尽を諦め、甘受する人間の姿を。

理不尽に囲まれながらも必死に足掻いて、抵抗して、闘う人間の姿を。


シェリー君の思いを。見せて貰おう。


感想、評価、ブクマ、レビュー、宣伝………お待ちしています。


手厳しいコメントや、『シェリー君がこんなシチュに遭遇するのは如何?』というアイデアも歓迎します。

因みに、時系列は夏休み前の事件を飛ばした時点で連続性が無くなっているので気にしないで下さい。

舞台とかも気にしないで、取り敢えず、『言ってみるだけ、聞いてみるだけ』の事なので、気軽にどうぞ。

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