かいてきなたび 28
ブクマ……着々と増えております。
頑張っていきます。
「姐さん…………」
大男がその外見に似合わないひ弱な声をあげる。
「……………………………………シェリー、アンタ、何でそんな事をわざわざアタシ達に言ったか……訊いて良いかい?」
当然の反応だろう。
シェリー君が何も気づかないフリをしていれば、この三人はおそらく…………否、確実にこのままシェリー君を村まで送り届けて別れていただろう。
「シェリーの言った事が正解だとして………アンタなら気付かないフリしてやり過ごすことも出来た筈さ。それを…………何でだい?
何がしたいんだい?」
わざわざこんな場所で披露する意味。
やり過ごせたにもかかわらず、敢えてそれを披露した意味。
シェリー君が悩み、苦悩していた事も関係が少なからずそこには有る。
というか、シェリー君の望みは、目的はもう既に、最初に言っていた。
「………………………………最初に言いましたよね?
『こんな事、止めませんか?』と。それが、それだけが私の目的です。
この数日間、色々な事が有りました。
こんな風に温かく迎えられた経験、私は今までかつて有りませんでした。
皆さんと過ごしたこの数日は、どれもこれも楽しかった…………のです。
皆さんが『一緒に旅をしよう。』と言ってくれた時…………嬉しかったのです。
私が、学校を終え、為すべき事を終えた後の夢が出来たのです。皆さんと一緒に旅が出来るという………素敵な夢。
胸が一杯になりました。」
既にシェリー君は泣き崩れそうだ。
「じゃぁ、何で!
こんな事言っちまったんだい⁉」
「黙っててくれれば…………何でですかい⁉」
赤毛女と大男が吼える
二人の目が乱反射する。
「だからです。そんな人達だから………だから辞めて欲しかったんです!
お願いします。どうか………どうか辞めて下さい!」
ガタゴトガタゴトガタゴトガタゴトガタゴト……………
「シェリー、アンタにゃ悪いが………コッチもそう言う訳にはいかないのさ。」
「っ!何故ですか⁉」
シェリー君が無念のあまり、唇を噛む。
唇がうっ血するのが解る。
何故そんな事をするか…………か。
「シェリーちゃん…………残念ながら、俺らはコレで金を稼ぐ他無ぇんです。
俺らみたいな奴等はロクな仕事が無ぇ、シェリーちゃんみたいな恵まれた環境なんて用意されてねぇ、それでも生きたい!
したら………………汚らしくて、みっともなくて、醜くて、間違っていても…………こうする他無ぇんです!仕方無ぇんです!解って下せェ!」
大男が苦痛に顔を歪めながらに叫ぶ。
「おぃおぃ、どうした荷台の三人?敵かぁ⁉」
御者台から人気な声が飛んで来た。
「オィ!パニンニ!シェリーにバレた!馬車を止めな!」
赤毛女が叫ぶが、残念だ。
シェリー君は既に馬車を準備中に細工を終えていた。
「馬車はそのままで!動かないで下さい!」
荷台の後ろ、その端に縛り付けてあった見えない糸をシェリー君は素早く掴むとそう言った。
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え?自分でやれ?
生憎その手のツールに嫌われていまして…………
お願いです。どうか、読者様!拙作の宣伝部長になって下さいませんか!




