かいてきなたび 15
着々と、ブクマしてくれる方が増える今日この頃。
更に頑張っていきたいと思います!
先程から廃墟の合間合間で動く者が複数居る。
しかも、その動き方は明らかに我々を意識し、自分達が気付かれない様に動こうとする動きだった。
目の前には顔までボロ布で覆った偽物のよろめく男。
周囲には気配を殺した(いという事は解るが、私からしたらバレバレの)複数の何者か。
こちらはいかにもな行商人。加えて半数が女性。
次に何が起こるか?
『解るな!』と言われても、呼吸をするレベルで解る簡単な問題。
理解しないというのは土台無理な話だ。
隠れていた輩の半数が廃墟の中からぞろぞろ湧いてきた。
一人が馬車などの乗り物の前に飛び出し、仲間が待ち伏せている場所で足を止めさせる。
そこで仲間が総出で取り囲み、馬車の中身を奪い取る。
盗賊の常套手段だ。
「あんた達…」
「解りやした。」
「俺らで時間稼ぎ、その間にぃ」
「「「シェリー(ちゃん)、逃げな!」」」
囲まれたと知ると、3人は馬車から降り、迫る盗賊に向けて闘志をみなぎらせた目で睨み付けた。
「面倒な仕事受けちまったみたいだね。」
「全くでさぁ。」
「しゃぁねぇ、やるとすっかよぉ………。」
「おいおい、そんなにカッカするな。
積み荷と女だけを置いて消えれば良いだけだ。
したら、全員の命は保証してやる。」
ボロ布の男は顔のボロ布を捲ってそう言った。
その男の表情。否、盗賊共全員に共通して言えることがある。
全員が下品な笑いを浮かべている。
『命は保証するが、それ以外は保証しない。どころか約束を破る気満々だ。』
私にはそう言っているようにしか見えない。
相手の数は18人。
その人数が物語っている。
廃墟の中に未だ22人の伏兵を潜ませて、その上、その事を言わずにいる。
それなりの人数で油断させ、逃げた所を22人が捕獲する。
という所だろう。
フッ
「舐めていますね。」
シェリー君と交代する。
「シェリー!何呑気してるんだい⁉」
「アッシらが時間を稼ぎやす!その間に逃げて!」
「出来たらまた会おうぜぇ…」
三人組が決死の覚悟と自己犠牲満々な顔で私……シェリー君にそう言った。
「オイオイオイ、何逃がす気なんだ?
逃がさねぇよ。」
ボロ布男がそう言う。
笑わせてくれる。
この三人は先ず、ここを突破したら逃げ延びられると信じている。
浅慮過ぎる。
そして、この盗賊共が舐めている。
シェリー君を置いていけ?
君達………私に宣戦布告をしているのかね?
何より舐めているのが
シェリー君を捕らえられると思っている事だ。
シェリー君を如何こうしようと思っている事だ。
この私が…………それを許すとでも思っているのか?
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