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闇の中の顛末

今日、もう投稿します。


やろうと思えば、脳筋の視線程度なら誘導して風のように通り抜ける事など容易かった。

しかし、脳筋とて馬鹿では無い。

脳筋が冷静な状況下であれば、私が教員棟で何を言っても戯言として片付けられるように仕向けられかねない。

そこで、確実に裁判長と警察官以上の権力者、つまり、ミス=フィアレディーに犯行を見せる必要があった。

大声を上げても逃げられれば無意味。つまり、脳筋に知られない様に、それでいて、教員棟に居るミス=フィアレディーにこの状況を伝える必要があった。

何の為に、私があの脳筋のチャンバラの茶番劇に付き合ったと思っているのかね?

暴力行使を禁止していたから?

とんでもない。そこら中を斬り回った尖った木片に足や頭から突っ込ませることも出来た。

私がわざわざやっていたのは、大きな音を鳴らす為だ。

教員棟に居る人間に音を聞かせてこちらに足を自然に(・・・)運ばせる為だった。

何の為に、挑発をわざわざして、魔法を使わせるように仕向けたと思ったのかね?

音を激しく打ち鳴らさせる事、そして、周囲への注意力を散漫にさせる為だ。

教員の存在に一早く気付き、撤収という手段を失念させるために。

そして、同時に、最後の一撃、おそらく昼間の傷が残った状態の肉体に更に負荷をかけ、その上で鞭打ちを喰らわせて惨劇を生み出す為だ。


刃は使わんさ。

ただ、血はそれでも流せる。


剣を持ち出し、複数の人間で襲撃する。

この行為の代償として妥当であろう。

ナクッテ嬢はシェリー君に感謝すべきだ

剣嬢はシェリー君に感謝すべきだ

脳筋はシェリー君に感謝すべきだ。

私一人では始末していたであろうからな。


あぁ、何故、ミス=フィアレディーが教員棟に居ると思ったかという点かね?

簡単だ。脳筋がここに動かず、教員棟への道を潰しているからだ。

シェリー君が行っては困る、話をされては困る相手が居たという事だ。

要は、ミス=フィアレディーだろう。

夕食後、脳筋がナクッテ嬢や剣嬢を呼んだにも関わらず、シェリー君を呼ばなかったのは何故か?

直接的犯行は証拠を残すから?とんでもない。このお粗末な殺人未遂の未遂の未遂の未遂の未遂事件をするくらいなら部屋で暴行を加えて口封じする方がマシだ。

 ミス=フィアレディーが私を倉庫の片付けに送った為に、それが叶わなかったから刺客を呼んだのだろう。

脳筋にとって、ミス=フィアレディーは邪魔をする存在、目障りな存在だったのだ。

要は、今回、シェリー君は守られかけた。

結局、場所を割り出されたことを考えると、感謝には至らんがね。




」」なにェェをすゥゥる?「「

血塗れながら、地面に這いつくばりながら叫ぶ。

叫ぶと言っても、声が出ていないから音量は大したことが無いが、地の底の怪物の慟哭くらいには聞こえた。

「それはこちらの台詞です。

あなたはミス=ナークとミス=エスパダの処分をしている筈です。

何故、こんな所で、こんな時間に、鉄剣を持って、あろうことか生徒に襲い掛かっているのです?」

鞭を相変わらず手に持ち、凍り付く声で問うた。

」」決まッテ「いる」ダ「ろウ「「躾だ「セッカ」」ンダ」「「」ワタ・シノ顔、ニドロヌッたコムスメに罰を」

「罰なら私が与えました。倉庫の掃除を。ミス=シェリー。倉庫はどうなりました?」

「実は……倉庫の掃除中に覆面を被り、鉄剣を持った不審者に襲われまして、」

「何と。」

「倉庫の備品が崩れ、その方は倉庫に居ます。」

「では、今すぐそちらに」

「さらに、ここに来る道中、別の同じような不審者に襲われまして…その方は階段から落ちた様なのですが……」

「二人もですか?他にも侵入者が居るかもしれません。では今直ぐ教員を集め、生徒を起こし、非常事態を…」

」」その…「「必要は「」ナイ;、ソノ二人は@ミス=」」ナークと「、エスパダ;。だ・。

「:馬鹿ナ」女!;、おまエノ壊した「」おマえ¥・壊した貴族ボンボン;セイGI:の¥制裁「が」」」:


ピシッ


鞭が血塗れの脳筋に走る。

血飛沫が飛び散るのが解る。

私も人をとやかく言えんが、かなりこの教師もかなりの非道では有るな。

「黙りなさい。ミス=パウワン、貴女の行動には淑女の模範として品位が皆無です。今は口を慎みなさい。

貴女には後ほど口をまともに訊けるようになった後、きっちりお話しいただきますからその用意を。

そして、それが事実であれば二人を如何にかせねばなりません。

ミス=シェリー、教員棟に居る他の教師を呼んで、説明し、保険医を呼んだ後、宿舎に帰って寝なさい。

今回の倉庫掃除は不問とします。

私は二人を回収に参ります。

怪我の状態は解りますか?」

「………さぁ、私も必死でしたので……覆面と鉄剣を持っていたものでして、申し訳…」

「あなたの処分は後にします。それでは、キッチリと言ったことを実行した後、帰りなさい。では。」

そう言って恐怖の淑女は走る事無く、地面と背筋の直角状態を保ちながら、しかして人間の歩く速度を優に超えた歩きで闇に消えていった。

ブクマ人数がまた増えました!有り難う御座います。

一カ月でここまで沢山の人に読んで頂き、感動と驚きが混ざり合っております。


本当に有り難う御座います。





PS:総字数9万字突破です。

このままなら大賞応募規定に食い込めそう!

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