邪悪のカリスマVS教師
教授対教師!とんだ変則マッチの開催です。
」ア˝ア˝ア˝ア˝「
猪突猛進に駆け回り、斬り付ける。
カンカンカンカンカン
しかし、私の木剣が当たらない!
何故だ⁉
あのガキは魔法なんて上等なモノを使っていない。
そのクセに私の剣を何故弾く⁉
……………………………もう良い。
痛い目で、骨折でもさせて泣かせて放校にでも処してやろうと思っていたが、面倒だ。
このガキは始末しよう。邪魔だ。
遠巻きに貴族のガキ共が見ているが、私の動きに着いていけている訳が無い。
頭を狙って叩きつけたのも、ガキが下手に弾いて私の剣を受け損ねたのも違いは解るまい。
ここはアールブルー学園。
外からの干渉は受けない、ルールは法<<<<校則。
下民のガキが一人死んだところで握りつぶせる。
私は教師。
学園の上位存在にして、ガキの指導者たる『先生』
私は偉い。
私がこのガキを要らないと思ったんだ。
それは正しい!
邪魔なガキが減って私は気分が良いし、授業はより良くなる。
和を乱すものは要らない。
成敗してくれる。
高速移動を繰り返し、さらに加速する。
10倍?ガキには10倍で十分だ。
しかし、私は油断をしない。
だからより速く。動く。
見えない様に。
確実に。
ガキの後ろを取った。
目で追えていない。
大きな動きの気配は無い。
ガッ!
猪突猛進。
木剣を頭に
世界が中途半端に混ぜた絵の具の様になった。
「シェリー君に幾つか教えておこう。『基本その7:長所=短所』だ。
万物には構造上の長所がある。そして、それは同時に短所たり得る。
例えばこの場合、速く動けるという事、殺傷力の上昇は『長所』だ。
しかし、速く動けるという事、これは『短所』にもなる。
例えば、すっ転んだ時により無様に醜態を晒し、地面により過激なフレンチ・キスをする事になる。」
何の事では無い。
後ろからのこのこやって来る脳筋を察知してしゃがみ、後ろから迫って来る足を木剣でチョイと突いた。
静止状態ならば触れるレベルだが、10倍…もっと速く走っていたな。14.4倍と言ったところか……。14.4倍の速さで走っている人間にとってそれは大男に派手に足を蹴り飛ばされたような衝撃になるだろう。
作用と反作用。というヤツだ。
小回りの効かない暴れ馬で動いていればあっという間に手を打たれる。
速いという事は事故の時に派手に……惨劇を招きかねない。
あぁなる訳だ。
「それともう一つ。
後ろに居る人間を予測できた理由を訊きたそうだから教えておくと……音と地面だ。」
「地面?音は解りますが地面は?」
「音は足音を。これは当然だ。
そして地面。よく見れば解るが、足元には脳筋の足跡がクッキリ残っている。
14.4倍の速度だ。足裏の衝撃も大きい。
これを観察すれば大体の歩幅が解る。
後は簡単。後ろからやって来た脳筋の足音を確認後、歩幅を予測し、着地する足の座標に木剣を置いてしゃがめば頭上を脳筋が越えていく。」
」ヲ˝オォォォォオノレ「!
すっ転んでお仕舞では無かった。
脳筋が起き出す。このまま死んだふりは困る。もう一二度痛い目を見て貰わねばこちらの気が済まない。
」油断しない「。
」貴様の様なガキであれど、卑しい物であれど油断しない「。
」ヨロこべ、私が本気。25倍速で相手してやる「‼
呂律が回らない。
辛うじて立っているが、支離滅裂。
そこら中血だらけだが、まぁ、動きに問題は無いだろう。
最高速度でこちらに向かって来てくれる。
「きょ……教授?」
シェリー君が臆する。
「安心したまえ。『基本その8:油断しない=深層心理の油断と慢心を意味する。真に油断しない人間は常に警戒をする。』だ。
『油断しない』?馬鹿者。警戒をすべきだ。というか、背後からの一撃を防がれた時点で『基本その6:不意打ちの失敗=即撤退』。が基本なのだがね。」
脳筋は肩で息をし、身体が苺の様に真っ赤だ。
全く、死にそうだな。
その状態で構えて………………
25倍速
凄まじい速度で迫って来た。
私はそれを木剣で迎え打たなかった。
代わりに、迎え撃った。
ブクマ件数が70件超えました!応援して下さる皆様、有り難う御座います。
月末までに10万字を超えてちゃんと大賞に応募できるように頑張ります。
あと、大賞で思い出したのですが、『小説家になろうラジオ大賞』に今、私は絶賛参加中です。
色々書いて、未だ半分も書けていないのですが、千字以下の超短編を幾つも投稿しています。
良ければ、そちらも見て下されば幸いです。
流石に、応援の力無しでは60とか70個とかおかしな数の短編が書ける気がしません




