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未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書  作者: 黒銘菓
モリアーティー嬢とモリアーティー教授
36/1781

謝罪は望まないさ。

 かなり胸の悪くなる内容です。

 注意して下さい。

 「………………嘘ですよね?」

 「それをさっさと元に戻しなさい……冗談では済まないわよ?」

 二人が唖然としていた。


 「嘘や冗談な訳が無いだろう?

 目撃者は無し。

 探されても見つからない。

 相手は逃げられない。

 私の手には殺すに足る凶器が有る。

 しかも、凶器が重石になって死体は上がらない。証拠も無い。

 生殺与奪は此方に有る。

 そして、こちらには君を生かす理由は無い。どころか、相手は井戸から出たら私を殺すと言っている。

 こちらには相手を殺す理由が十分ある。嘘を吐く理由がどこかにあったかね?」

 笑顔で返した。というのに、反応は蒼白だった。

 「…………ん………ん!ん!」

 豚嬢が井戸の壁を登ろうとし始めた。

 しかし、無駄だ。

 あれの身体能力ではここまで登って来られない。

 例え登れても、脱出する前に石を叩き落して井戸の底に沈められる。

 「教授、馬鹿な真似は止めて下さい!脅かすにしても酷過ぎます!冗談ではすみません!」

 シェリー嬢が必死に抗議して止めようとする。

 「冗談では無いと言った筈だ。

 大体君は、何故庇うんだ?

 殺人への罪悪感か?問題無い。殺すのは私だ。君は関係無い。

 それに、相手は君を豚と言っているんだ、まぁ、私は彼女の方が余程醜い豚に見えるがね。」

 「それが何だと言うんですか?」

 「君をさっきから同格の存在として見ていない。それは真実だ。つまり、彼女は自分と君が違うと言っているんだ。彼女は豚と読んでいるが、君は豚では無い。人間だ。しかし、同格でもない。よって、彼女は同じ人間ではない。殺『人』にはならない。

 気にしなくてもいい。飛んでる煩わしい蚊を潰すようなものだ。」

 豚嬢の眼に怯えが見える。今頃気付いたというのかね?

 これが、いじめという物だ。人を逃げ場のない井戸の底に追い込み確実に相手を殺しに行く。

 抵抗できず、人の尊厳を奪われ、一方的に殺されていく。

 死体は沈められ、加害者は隠される。

 抵抗の許されない一方的な殺しだ。

 豚嬢。君がやっていた事はこんなものでは済まない。

 「止めろ!止めなさい!止めて!お願いだから!」

 本当に命の危機に曝されていると知ってやっと命乞いを始めた。泣き喚いている。

 「今まで君は相手を思った事が有る?止めてと言って私にしていることを止めたことは?」

 「だって………そんな事言ってない………。」

 死の恐怖の前で心が折れ始めた。

 「言わせなかったのだろう?下民だ何だと選民思想を振りかざし、思い上がり、相手を蔑み、陥れ、尊厳を踏みにじっていた。立派な暴力だよ。解る?理不尽で、不条理な目に遭わされて、それでも反抗出来ない状態。もう、そんな目には遭いたくない。

 これが最後のチャンス。だから、君には死んでもらうよ。生かしておいても厄介が増えるだけだ。」

 井戸の周りの石がゴロリと崩れる。

 それは豚嬢の肩を掠めて井戸の底に沈んでいった。

 「止めて、もうやめて、お願い。謝るから……………………」

 恐怖で過呼吸のような状態になっていった。

 「『謝られたら許さなければならない。』初等学校の教師がやるあれは法律ではない。

 そもそも、謝られたところで心は晴れない。傷は癒えない。解決には成らない。

 もし、晴れる事が有るとすれば、解決する事が有るとすれば、それは、相手がこの世から居なくなった時だろうね。」


 「あ゛―――――――――!!!!!」

 獣の様に叫び始めた。

 最早彼女の心は完全に折られた。

 では、お仕舞にするとしよう。

 「じゃぁな。豚嬢。」

 井戸に石を突き落とそうとしたとき…………


 ガシ!


 腕を掴まれた。

 若干今日をオーバーしそうです。

 ウッカリ食事の時間を入れるのを忘れていました。

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