金庫ではなく、牢獄と呼ぼう
ただただ申し訳有りません。
そして、先日、総合評価が1700を超えました。サボっているというのに、本当に有り難う御座います。
死なない限り、エタる事はしたくないので、徐々に書いていきます。お待ちいただければ幸いです。
冷たい石の階段を下り、灯りに照らされた先にはつまらない光景が広がっていた。
正面に一つ、左右に二つずつ、計5つに区切られた鉄格子の部屋。
格子の中心には青い金属製の大きな錠前が有り、その中には罪人の姿は無く、装飾も何も無い石の台が有るだけ。その上には小さな簡易装飾が有るだけの木箱が鎮座していた。
『金庫の様だ?』あぁ、実際に見なければ、物語に出て来るような金庫だと思えるだろう。
が、
冷たい石の地下室といい、無骨な金属の格子といい、無骨な錠前といい、到底金庫とは言えない。
これは、牢獄だ。
人の財を啜り上げ、地下深く、誰も知らない所へと閉じ込める牢獄だとも。
まぁ、私にとって牢獄も金庫も大差無いがね。だって出入り自由だもの!
「ナァァァおぉぉぉぉおおおおおおおおおお!」
「お宝だにぃぃぃぃいいいいいいいいい!」
「ぬぅ!コレはッ!」
「のー……本当に…………!」
4人はといえば鉄格子に向けて駆けだしていた。
不用意にも程が有る。先程仲間が不用意故に吹き飛ばされたというのに…………まぁ、敢えては止めないさ。ここには罠を仕掛ける事は無い。
何故か?言った通り、ここには幾つかの仲の悪い連中が居る。
そんな連中なら尚更爆弾やら鉄球やら吊り天井を用意しそうなもの…が、そうもいかない。
仲の悪い連中が二グループならまだしも、ここでは最低5グループ関わっている。
要は、一人が裏切った場合、4グループを敵に回す事になる。
ゴーレムの配置がある種の平等であった以上、少なくとも5グループの地位はほぼ同等。他を力ずくで屈服させるような事が出来ない以上、他が不利になる様な、敵に回す様な下手な事は出来ない。
よって、自分の領域に仕掛ける事は有っても公共の場所には仕掛けられない。
で、鉄格子の鍵がココに有る以上、はしゃいでいる連中には迂闊な事は出来ない。
「この鍵…飾りでは無かったようですね。」
シェリー君がそう言って手に持った鍵を近場の錠前に差し込む。
形状記憶合金を用いた装飾偽装型の鍵。
花の装飾の反対部分、つまりはここへ来る時に使った鍵ではない、本来の鍵部分を差し込んで言った。
「まぁ、ここへは最低でも5グループの人間が来られる訳だ。
鍵を掛けておくのは当然の心理だろうさ。」
ガチャリ。
錠前が一つ。開いた。
「さて、ではお宝を漁るとするかね!」
「教授、言い方が悪いです。
大変心苦しいですが、少し拝見させて頂きます。無断で。」
「んー、意味は変っていないと思うがね。」
鉄格子の中へと足を踏み入れた。
『一度でいいからピッキングや金庫を開けてみたい。』という謎願望が有ります。
この作中なら余裕で願望を叶えられそうです。




