5VS1 その2
お久しぶりです。
最近投稿が遅れて申し訳有りません。
私用にケリを付けて専念できるように頑張ります。
松明に照らされた石の階段を一歩一歩降りて行く。
先に何が有るかは解らない。
だが
「メンドーな事しか起きそうにネェなぁ。ハー………。」
学園の隠し階段。面倒なのは覚悟していた。
が、規模が大き過ぎる!これじゃまるでダンジョンだ。
俺だって何度もダンジョンには潜ったことが有る。そして、ここはそれに似ている。
が、アレは人間の造った物じゃない。本来は作れないし、作る意味も無い。似せるだけでもエレェ金が掛かる。
そんな物をワザワザ作るのは馬鹿のやる事だ。馬鹿で無くとも、そもそもバカみたいな金が無けりゃぁ出来ない芸当には違いない。
しかも、この規模で考えると個人がやったとは思い辛い。
ゴン ゴン ゴン ゴン
振動と爆音が地下から聞こえてくる。
明らかにデカい、戦闘音だ。
地下で何かが戦っている。
音の原因。片方は立て籠もり犯だとして、相手は一体誰だ?
人質の嬢ちゃん………な訳が無い。
俺の狙撃を掻い潜った連中を、そこらのお嬢様が出し抜けるとは思えない。もし、出し抜けたとしても、それならそもそも人質のままここまで来る訳が無い。
一体、地下では何が戦っている?
◇
「喰らいナァ!」
背後から体表を削る様に斬り付ける。狙いは本体では無く本体から伸びる無数の棘だ。
キィン!
鉄と鉄がぶつかり合う音が響き渡り、火花が散る。
「ッと、やっぱり硬いナァ。」
痺れた手をヒラヒラさせながら長身痩身が下がる。
金属製の棘には傷一つ付いていない。
しかし、それに気付いたゴーレムが背後に居た痩身長身へと向き直り、棘に塗れた拳を振り上げようとする。
拳はかなり速い。避ける余地は無い。
当れば胴体が鋭い棘に貫かれる。確実に致命傷は免れない。
「と思ったかナァ?」
ガキン!ゴン!
ゴーレムの足元で大きな金属音が二つ同時に鳴り、ゴーレムの拳が反れて長身痩身を掠めていった。
ゴキン! 棘のびっしり生えた拳が石の地面に突き刺さった。
足元で起きた音の原因。それは筋肉質と中肉中背。彼らはゴーレムの足元に立ち、手には棍と斧を握っていた。
そう、拳が放たれるタイミングで二人の渾身の一撃が叩き込まれたのだ。
そのお陰でゴーレムは足が折れこそしなかったものの、バランスを崩し、棘だらけの拳の軌道が反れて長身痩身は絶命の難を逃れた。という訳だ。
キィン!
腕の棘目掛けて長身痩身が剣を振るう。
ガキン!ゴン!
筋肉質と中肉中背の斧と棍が足を執拗に狙い続ける。
しかし、それでも圧倒しているとは言い難い。
圧倒的に火力が足りない。
三人がかりでは到底手が足りない。
再生能力こそ無いものの、全身を覆う棘の強度と脅威度が高い。
このままでは…………勝てない。
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