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未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書  作者: 黒銘菓
アカデミージャック・アカデミークイーン
267/1781

5VS1 その1


一方その頃、シェリー君を出し抜いた5人はと言えば…………。



「ねぇねぇ、あれで良かったの?」

「まぁ、他に無かったんじゃないかナァ?」

「ぬぅ…あの娘に頼り過ぎた。

迷惑は掛けられん。」

「だにー。ここから逃げる為にもあの娘には休んでおいて貰わないとにー。」

「さぁさぁ、そんな事言ってる間に考えんとのー。

流石に楽々倒せるような奴がこの先に居るわけ無いし、頼れる頭脳は残念ながら居ないからのー。」

5人は今、5つ目の通路を歩き、攻略を絶賛試みている最中だった。

指揮官無いままの攻略は果たして…………。


「取り敢えず、さっき嬢ちゃんがやったみたいに、敵情視察からやってみようかナァ?」

「真似からだにー。」

「ぬぅ……学ぶ事は『真似ぶ事』と言われている。同じ成果が出ずとも真似が無駄になる事は有るまい。」

「それに、こっちには頭数が5倍有るしのー。つまり目玉も5倍、考える頭も5倍。

なんとかなるんじゃないかのー?」

通路を歩き、今までと同じ様に通路の先に続く広間の様子を伺う。

曲がり角から頭だけ出した先には先程同様に広間。そして、広間の中央にはそびえ立つ一体のゴーレムがポツンと居た。

大きさは2m強。

数が一体で2m。それだけならどうと言うことはないが、これ迄のゴーレムとは明らかに、決定的に違う点が有った。

「………金属かナァ?」

「金属だにー。」

「ぬぅ……石ではなく鉄か。」

「ねぇねぇねぇ、物凄く尖ってない?」

「ありゃぁー……もしかして鎧や武器の代わりなのかのー?」

5人の目の前のゴーレムの、他とは決定的に違う点。それは表面を覆う刺々しい(スパイク)だった。

手足、胴体、頭、全身に無数の金属製の釘の様な棘が無作為的にびっしり生えていた。

「厄介だにー。」

「掠っただけでもエライ事になりそうだナァ。何も考え無しに飛び込むのは不味いかナァ。

どうしたもんかナァ……。」

「拳じゃ役に立ちそうに無いのー。

どうしたもんかのー………?」

「あ!ねぇねぇねぇねぇ。

僕がここの壁とか床の石を使って投げるようなものを作るから、それを投げて牽制は出来ない?」

「おぉ、そりゃぁ良いのー。頼めるかのー?」

「解った。やっとくね。」

「じゃぁ、距離を取りながら飛び道具で牽制して、近接武器組は飛び道具に気を取られてる隙にアレの表面を削って棘を全部折って…………それが終わったら全員で袋叩きにするしかないかにー?」

「他には方法なんて無いしのー。」

「ぬぅ、他に方法が無いのならそうする他有るまい。」

「じゃぁ、作戦はそれで良いか…………じゃぁ、時間も勿体無いし、俺達だけで石人形退治と始めようかナァ?」



拳、杖、剣、斧、棍を携えた5人の男達は広間へと歩を進めた。

ゴゴゴゴゴギーッ

全身を鉄製の棘で包んだゴーレムがそれを迎え撃たんと動き始めた。


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