武術の如く
5人が散開していく。
シェリー君はその場から動かず、正面からゴーレムを正視する。
ゴーレムの目がどんな構造かは知らないが、シェリー君を如何やら敵として捉えている様だ。それが証拠に……………
ガン!ゴゴゴゴゴゴゴ…………。
右足を前に踏み込み、地面を抉りながら石……違うな、岩の拳を下から抉る様にシェリー君目掛けて叩き込む。
シェリー君は正面からそれを……………喰らわなかった。
拳がシェリー君を避ける様に反れていく。
ドゴーン!
重い物が地面に叩き付けられる音がして、ゴーレムが地面に転がっていく。
それは決して魔法ではない。それはシェリー君が何かをした訳もない。
「OK!作戦通りだナァ!」
5人がシェリー君の指示通りに動いていた。それだけだ。
シェリー君がどんな指示をしたか?
それは、ゴーレムの破壊では無かった。
『ゴーレムの足元の少し先、シェリー君の立つ場所に少し近い所の地面に穴を空ける』
それが指示の内容だった。
ゴーレムは部品を組み上げている為に、一つの石塊から削り出すよりは強度は減っている。
しかし、それでも巨大である事に変わりは無く、破壊は困難。
おまけに人の形で足元しかまともに攻撃できないからやり難いことこの上ない。
だからこそ、破壊の容易な足元の地面を削り、シェリー君が動かずに居た場合、攻撃しようとした所で踏み込む位置に穴を作っておいた。
人間の構造を模す事でこのゴーレムは人間の様な複雑な動きを出来る様には成っただろう。
確かに、動植物の生態や生体は非常に合理的で模倣する事で非常に益になる。
が、同時に、それはつまり、その生体の弱点も模倣する事になる。
要は外見から弱点を読み易くなる訳だ。
人間が何かを殴る時、踏み込む足のバランスを崩せばあっという間に拳が反れるし、体は重力に捕まって地面に叩き付けられる。
この木偶人形……石偶人形とでも本当は言うべきなのだが、兎に角。この地下迷宮の石人形は非常に単純な動きしかしない。
再生型ゴーレムも速度特化型も性能は良かったが、性能は良くても知能は無かった。
この巨大石人形も足元の死角に気を配る様な知能は無い。
絡め手を幾らでも仕掛ける事が出来る。
大きいが故に的は大きく、動きも鈍重で粗い。
さぁ、ドンドン行こう!どんどん壊そう!一方的な破壊の始まりだ!
いやぁ、私が手を出していないとは言え、こうやって大きなものを派手に破壊していくのは非常に気持ちが良いものだ!
ン?宿舎の事かね?あぁ、アレも非常に楽しかったとも!だが、残念ながら派手に破壊を起せなかった事が非常に心残りだ。
あの状態ならば粉塵爆発やバックドラフトやリキッドテルミット反応が起きても誰も違和感を持たないし、それ故ドサクサに紛れて仕掛けたかったのだが……………如何せんそれはシェリー君に止められるから自粛した。
イヤァ残念!構造計算まで徹底的にやって建物一個丸ごと爆弾に変えて校舎も余波で爆発■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(これ以降はシェリー君ジャッジで『公序良俗に反します!』と言われ、泣く泣くモザイクにしました(´;ω;`))
教授、絵文字………使うんですね。
※皆様に重要なお知らせが有ります。
詳細は活動報告に書かせて頂きます。




