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未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書  作者: 黒銘菓
アカデミージャック・アカデミークイーン
238/1781

シェリー君と愉快な立て籠もり犯達


 大広間から伸びる通路は5つ。

 広間から覗いてみるものの、直ぐに通路が左右に折れて奥が見えない。

 私ならば裏技で何処が正解の道か解らない訳では無い。が、ここは敢えて何も言わないで居よう。

 5つ道が有れば5つの成長の可能性が有るという事。ここは茨の道を選んで貰おう。

 「何処の通路から行きますか?」

 シェリー君が5人に訊ねる。

 右の壁沿いの前と後ろ2つ、左の壁沿いの前と後ろ2つ、更に正面奥の1つの、計5つの中から選択するようにという事だ。

 「どの道が当たり……って事は、解らないかナァ?」

 「残念ながら、解りません。

 この先にもあぁいった仕掛けが有る可能性は少なくない……どころか無い可能性の方が少ないです。」

 どころか、絶対有るねぇ。保証しても良い。

 通路をそれぞれ先が見えない様にして有る。多分、入った所で先程同様に通路と広間を繋ぐ道が閉ざされるだろう。

 なにより、仕掛けのゴーレムを出した時に塞いだ道を、ゴーレムを倒した後でわざわざ通れる様にしておいて、その先には何も無く、平穏無事でお宝迄一直線………なんて、罠を仕掛ける意味が無い。

 これを作った人間にはそんな善良性は無い。

 目一杯罠や仕掛けを施して侵入者を始末しに行くだろうさ。

 「戻るって選択肢は?」

 「見ての通り、本棚の方へ続く通路が石の壁で塞がってしまいました。逃げ場は有りません。

 もし、壁を破壊して逃げられたとして、間違いなく絞首刑確定ですが、それは構いませんね?」

 そう、先程のゴーレム進撃後、階段に繋がる道を確認した所、塞がれていた。

 ゴーレムとの立ち回りで気を取られていた事、階段を少し上がった、途中が塞がれていた事もあり、確認するまで6人は気付いていなかった。

 「進むしか無いですよにー……。」

 「ヌゥ……選択肢は無いと…そう言う事か。」

 「えぇ、残念ながら後戻りする事が出来たのは学長室までの話でした。」

 「ねぇねぇねぇ、シェリーちゃんはこの場所から出られる自信は有る?」

 「いえ、私もここに来るのは初めてなので……。正直、生き残れる確率は五分五分です。

 つまり、皆さん同様に私も生きるか死ぬかです。」

 「…………もう、答えは出たんじゃ無いかのー?

 もうこの6人で危険を承知で適当な通路に入って、死なない様にするしかないんじゃないかのー?」

 その通り。

 この状況では虱潰しにこのダンジョンを探索する以外に道は無い。

 罠有り危険有り命の保証無し。

 「他に道は有りません。

 進みましょう。」

 「OK、解った。

 じゃぁ、どの道を選ぶかはシェリー嬢に任せる。それで如何にかなっても、俺達は何も文句は言わない。

 皆、それでいいナァ?」

 「問題無いにー。」

 「ヌゥ…それが一番良いな。」

 「ねぇねぇねぇ、僕は賛成だよ。」

 「同意見かのー……。」

 「そういう訳だ。

 まぁ、お願い出来るかナァ?」

 最早シェリー君が人質だと覚えている人間は居まい。

 「解りました。

 全力で皆さんの力に成ります。」

 こういう訳で、シェリー君と愉快な立て籠もり犯達は茨の道へと進んでゆく事になった。


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