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未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書  作者: 黒銘菓
アカデミージャック・アカデミークイーン
211/1781

作戦会議


 「なるほどナァ(ナブボボバァ)確かに(バビパミ)俺達には(ボベバビビバ)選択肢なんか(ベンバブピパンパ)無い様に思える(パビボウビボボベブ)ナァ(バァ)

 が、しかし、お前は怪しい!故に怪しいんだナァ!」

 時間が無いのに随分な余裕だ。この男は。

 「ヌゥ、何がだ?」

 「ねぇねぇねぇ、おかしい事有った?」

 「んー…この娘に騙す理由は無い筈だがのー。」

 「何が問題なのかニー?」

 他の4人が抗議する。

「さっきの行動。俺を助ける為にリスクを犯し過ぎだナァ。殺せば良いだけだってのに…………だから怪しいんだよナァ。

お前に一体何の得が有るのかナァ?」

 疑いの目を向ける。

 あぁ、それは納得する。

 命を救うその行動。確かに、人質の取る行動としては不自然極まりない。

 誘拐犯に情が移った?そんなケースは存在するが、この短期間で一体どうやって情を移すんだ?という話だ。

 が、この男はシェリー=モリアーティーという少女を知らない。

 「目の前で人が死の危機に瀕していて、自分はそれを止められる力が有って、間に合うのであれば、救わない道理が何処にあるのです?」

 疑いに怯むどころか逆に訊き返す。

 男の方が逆に圧倒されている。

 (たお)やかな乙女の様な外見ではあるが、その内には鋼の様に堅牢でダイヤモンドの様に傷付かない信念が有る。

 たとえそれが如何に非合理的であっても、私が合理的思考を勧めても、それを決して曲げない。それが、シェリー=モリアーティーだ。

 「ナァる……程……解った……………じゃぁ、どう、しようか?

 今は窓の向こうに狙撃手。時間が経てば下から別の連中が来るかもしれない。

 どこかに隠れようにも狙撃手がやっぱり居て、壁くらいならぶち抜ける。

 俺達、詰んでないかナァ?」

完全に気圧され、完全に協力ムードとなった。


しかし、事態はかなり悪い事に変わりが無い。


 一見すると状況は最悪。

 狙撃手が居る所為で他の階に移動するのさえ難しい。

 向うの得物は殺傷力が高く、そこらのドアなら破れる所為で、下手な教室には飛び込めば蜂の巣。

 「幾つか方法が有りますが………先ず、皆さんが今、何を持っているかを教えて下さいませんか?

 有る物は把握しておきたいので。

 より良い方法が見つかるかも知れないので。」

 「オッケー、持ってるもの全部出せば良いんだナァ?

 ほら、皆、ここに。」

 そう言って男達は懐にある物と得物を床にぶちまけた。



 剣、棍、杖、斧、包帯、軟膏、縄、石の様に硬いパン、一瞬土か煉瓦と間違いそうになった干し肉、煙玉、閃光玉、爆竹、石、接着剤、油……………


 ロクな物を持っていない。本来なら本当に立て籠もり犯かと問いただしたくなる程度に。

 が、

「解りました。これを使わせて頂きます。

 では、作戦を伝えます。宜しいでしょうか?」

 この程度でどうにかなる程シェリー君はヤワでは無い。

 さぁて、ここから反撃開始だ。


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