真夜中の散歩者
祝 総合評価PT100突破!
有り難う御座います。
あの後、無事とは言い難い………気分最悪な食事を終え、部屋に戻った。
彼女の顔は曇りを通り越して土砂降り、篠突く雨、豪雨………………食事後というよりは葬式を5回連続終えたばかりの顔だ。
そして、その顔のまま……何をしたと思う?
ベッドに飛び込んで泣き狂った?
違う。その顔のまま机に向かい、勉強を始めた!
鬼気迫る勢いで。
上半身が固定され、肘から先だけがペンを高速で走らせている。
ランプに照らされた影が最早人間のソレでは無く思える。
兎に角…………怖い。
本来ならば彼女を止めて早く寝るように言いたいのだが、言える雰囲気ではない。
さっき迄のストレスをここにぶつけているのだろう………。健全では無いが、止めるのも問題だ。
「私は…………外へ出かけるとしよう。」
幽霊故にどうやら移動に自由が無い。
この状況ならば豚嬢が来ることは考えにくいだろう。
来たとしても、これを如何こうするのは命懸け。
あの豚嬢には無理だ。
フッ
扉をすり抜けて出て行く。
これでは密室殺人犯諸君の努力が水泡に帰すな。
まぁ、私は実体がないから直接手は下せないがね。
成る程。
私はシェリー嬢の部屋から出た後、廊下を探索していた。
先程足元が軋んでいたからね。音を止める術が無いか考えていたのさ。
見れば中々の年季。
木材もそれを止める釘も見ただけで風化が解る。
ザブン
効果音など無いが、潜るように頭を床に浸ける。
床を通り抜け、黒一色の景色が直ぐに色彩を取り戻した。下の階の天井から頭が生える。
床がこの程度か…。
下の階も似たような作り。
成る程。
そのまま下の階を探索する。
床はやはり年季が入り、風化していた。
変わり映えしない景色
番号のそれぞれ違う扉
水がボタボタと漏れる蛇口
不気味なトイレ
窓から差す月光は薄暗い牢獄を更に気味の悪い物に変貌させていた。
……他を見るかな?
窓を通り抜けて独り。モリアーティー教授は宿舎から飛び出した。
巨大な校舎が眼下に見えた。
5階建て+屋上の建物に広いグラウンド。
その周囲を槍のような柵が何重にも囲んでいた。
《配置イメージ》
※なお、縮尺は漢字の都合上不統一な為、配置のみ参考にして下さい。
囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲
囲グラウンド大建物 校舎 宿舎 囲
囲グラウンド大建物 校舎 宿舎 囲
囲グラウンド大建物 校舎 宿舎 囲
囲グラウンド大建物 校舎 宿舎 囲
囲グラウンドグラウ 校舎 宿舎 囲
囲グラウンドグラウ 校舎 宿舎 囲
囲グラウンドグラウ 校舎 宿舎 囲
門グラウンドグラウ 校舎 宿舎 囲
門グラウンドグラウ 校舎 宿舎 囲
囲グラウンドグラウ 校舎 宿舎 囲
囲グラウンドグラウ 校舎 宿舎 囲
囲グラウンドグラウ 校舎 宿舎 囲
囲グラウンドグラウ 校舎 宿舎 囲
囲グラウンドグラウ 校舎 宿舎 囲
囲グラウンドグラウ 校舎 宿舎 囲
囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲囲
箱入り娘達を守ろうとするのは結構だが、肝心の内部がアレではな。
箱入りで放置した結果、腐り切っていたのでは話にならない。
敷地外には木々や草原や池があり、植物や動物も多々居るようだ。
逆に人の住居は近くには無かった。
届け出をすれば外出可能。
読ませて貰ったテキストには植物や動物の生態や特徴についての記述も有る。
折角の月明かりだ。探索するのも有意義だろう。
敷地から飛び出し、私は探索&調査を開始した。
周囲の地形を粗方調べ、ついでに校舎を見終えた頃には2時間が経過していた。
流石に形状は覚えたが、未知の器具や装置や言葉が多すぎた。
完全把握とは言い難いが、それは後で良いだろう。
そう思いながらシェリー嬢の部屋に帰り着いた。
目の前には地面に倒れたシェリー嬢が居た。
「大丈夫かシェリー君!!」
駆け寄って
フッ
シェリー嬢に入り込む。
手足は………異常無し
五感…………異常無し
脈拍…………正常
よし!生きている。
周囲に荒らされた様子やドアを抉じ開けた形跡はない。
外部犯ではない。
毒?
魔法か?
「……教、授…………。」
思考を巡らせていた頭の中で声が響く。
「何だね!?」
「………………助けて貰って…有難うございました……………………」 寝ていただけだ。
あの後も勉強を続けたのだろう。
私が出ている間中ずっと……………。
「当然の事をしたまでさ。」
頭の中で小さな寝息が聴こえる。
ここで寝ては風邪を引く。
ランプの火を消し、彼女をベッドに寝かし付けると
フッ
体から出て、私は思考を巡らせた。
この状態の私は眠くならないようだ。
次の日。
ここから本格的に私の計画は始動する。
失敗など無い。
有るのは誤差さえも無い、誰もが疑わない不慮の事故という方程式。
存分に苦悶せよ。
存分に顔を歪めると良い。
存分に泣き喚くと良い。
己が身に降りかかる厄災の正体に気が付かぬまま、私の方程式のままに動き、抵抗出来ぬままに消えるが良い。
シェリー・モリアーティーを疑う事無く!!
シェリー・モリアーティーに行った愚行、蛮行の代償を払うがいい。
感想、評価、レビュー等お待ちしています。
後は、拙作の『賢者の趣味は癖のヤバイ魔剣作りです。』や『スタイリッシュ農業』も読んで頂ければ幸いです。




