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未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書  作者: 黒銘菓
アカデミージャック・アカデミークイーン
198/1781

強度強化

「武闘家や冒険者で無くとも、これは最低限得るべき技能ですので。そこを肝に銘じて学んで下さい。

では、やり方を説明します。その後で実際にやってみて下さい。

解らない時は言って下さい。」

 そういって行使方法を粗方説明し、全員にゴム製の球を渡して自習の時間に入っていった。

どうやら、考え方としては、『肉体全体に魔力を流し、肉体全体の強度を上げていくイメージ』らしい。

このゴム球を強化してみろ。という事か。それは、丁度人体くらいの弾性を持った、4㎝程度のゴム球だった。成程、これなら強度の増減が見え易い。

 早速、シェリー君は強化を試みたのだが………

 「出来ましたけど…………ねぇ?」

 強化魔法。割と簡単に出来はした。確かに出来はしたのだが。シェリー君は私に目で訴えかける。

 「確かに、実用性は無いな。」

 ゴム球を指で突く。確かに、最初に触った時の様な、人体に近い感触とはかけ離れている。

 空気を詰め込んだボール並みの硬さには成っていた。

 確かに、強度は上がってはいるが、燃費は悪いし、あまり効果が無い。これでは肉体や物質に使っても、せいぜいが少し壊れにくくなるレベル止まりだ。

 仕方ない、教授からのアドバイスだ。

 「シェリー君、今君はどうやって魔力を流しているかね?」

 「どうやって……と言われても………」

 「力の流し方だよ。魔力という力を一体シェリー君は一体どうやって流しているのかね?」

 「いえ、あの……普通に、まんべんなく、出来るだけ均等に流し入れる様にしています。そうしないと、魔法としての効果が発生しませんので。」

 『全体にまんべんなく。』その発想は様々な人間が陥りやすいが、『どれに対しても一長一短で何に対しても対応出来ない状態』になりやすいリスクもある。

 「………それは余り適当とは言えない。

 この手の力に関する技法において、力は全体に流すものでは無い。

 人間の統制出来る情報量や操作出来る個数や量には限界がある。故に、大きな面や立体という、大きなものに干渉する場合においては操作性や統制能力の低下が起きてしまって逆に効率が悪くなってしまう。

 何より、実践を前提とするならば、肉体の内部まで強度を上げても意味が無くなる場合が多い。

 同じ力ならば面積や体積を小さくした方が同面積当たりの干渉効果は大きい。例えば、同じ力で押されるならば、面より点の方が痛いだろう?

ならば、如何だろう?

 先ず、体外からの衝撃に対応すると想定した場合、肉体内部に流す力は格子状ないしはハニカム構造の骨組みにし、その周囲、肉体表面部分を鎧の様にしてしまう……いわば建築物を建てるが如く、強化をしてみるのは?」

 この方法には、『体内には強化がなされていない部分が発生する。』という欠点が有る様に見える。が、実際に全体に流してロスを生み出すよりも、表面を鎧の様に強化し、それをハニカムで支える方が効率と強度の上昇度合いが高い。

 「成程……建物を建てるように………ですね?」

 そう言ってシェリー君が目の前のゴム球に魔法を掛ける。


 『強度強化』


 改めて、ゴム球を触ってみる。

 指の腹で机に押し付けてみようとするものの、変形しない。

 トントントン

 指先で叩いてみるものの、変形しない。

 カンカンカンカン!

 思い切ってゴム球を掴んで机に叩き付けたものの、木の実を叩いている様な感覚に襲われる。

 「上出来だ。」

 「有り難う御座います。教授。」

 「良いというものだ。

 さらに、これを応用し、面を線や点にする事で更に効果的にこの魔法を扱えるようにして見ようか?」

 悪戦苦闘する他の連中を尻目に、シェリー君は練習を続けて行った。


 物理や科学が絡むと教授は途端に強くなりますね。

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