門が開く
異世界転移/転生 ファンタジーの日間ランキング268位でした!有り難う御座います。
PVも29万を超え、ユニーク読者様も3万に近付きつつ有ります。
これからも頑張っていきます。
シェリー君が回想を終えた所で三人がゴクリと唾を飲む。
「で、どうなったんだい?」
赤毛女が聞いてくる。
「いえ、どうなったも何も……………無事消火されたのですが、建物が無事では無かったので、私は結局、夏休みは里帰りする事になり……………お三方に会い、村に帰ったら賊が占拠していまして。そうして現在に至ります。」
「大変だなぁよぉ……………。」
「大変で済ませて良い話かい⁉」
「一大事じゃぁ無いですかい⁉」
「少し刺激的な体験でしたね。」
「「「少し刺激的で済ませちゃダメでしょう‼」」」
馬車はカタカタ音を立てて学び舎に近付いていく。
「で、そのシェリー君の所に火を付けようとしたふてぇ奴等は一体どうしたんですかい?」
「ちょっと挨拶させてくれよぉ。ちょっとばかしランデブーさせてやるからよぉ。
馬車の尻に縄で括り付けてジヘンまでランデブーだぁ。」
「甘いよ。新しい宿舎からバンジーさせてやるのが一番さ。
紐無しで。だがね。」
三者三様に敵意を漲らせている……………が。
「三人はもう学園にはおりません。
火事の原因が三人に有るという証言が複数名から得られ、挙句にそれまでの行動や成績の著しい低下が重なって『三人の退学処分』という処分となったので……………………。」
「ハァァァ⁉⁉」
「ソイツぁ…………」
「温くねぇかぁよぉ!?」
三人組が呆れ驚く。
あぁ、確かに。
建物を放火炎上させて危うく生徒全員を焼き殺しかけた。
その罪が退学と建物再建では釣り合わない。というのだろう?
確かに、ここの法律は調べた。
それに照らし合わせて考えると、ブタ箱送りにされないのは温い罰則だと考えられる。
が、罰則にこんなものが追加されていたらどうだろうか?
『焼失した宿舎及び校舎の復旧の費用の全額負担』という罰則を追加していたら…………どうかね?
ボロボロだった宿舎校舎を丁度建て直そうと思っていた時にそんな条件を提示されたのだ。
学園側は握り潰さざるを得ないという訳だ。
学園側はそれを了承し、ランプの火の不始末という事で数人の目撃者に箝口令を敷いて事を穏便に済ませてしまった。
あの姉妹にはそれなりにトラウマを与えた事だし、学園も綺麗になった事だし、今回はここまでにしておこう。
まぁ、良い。
その内、今回の分の罰は受けて貰うさ。
「着きやしたぜ。シェリーちゃん、何か有れば逃げる事も大事ですぜ。」
「寂しくなるなぁ。気ぃ、付けてな。物騒な奴もいるみたいだし……………な。」
「シェリー、何か有ったら直ぐに言いな。連絡貰ったら駆けつけてやるよ。
あと、気を付けて行くんだよ。」
馬車は学園の前に辿り着いた。
三者三様のエールが贈られた。
「皆さん、有り難う御座います。
皆さんも、お元気で。」
シェリー君は満面の笑みで学園へと向かっていった。
ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!
門が開かれる。
伏魔殿への扉が開かれる。
味方は誰も居ない、敵有るのみ。
それでもシェリー君は歩みを止めない。
私はそれをただ、後押しするだけだ。
これにて夏休み前に起きた事件の章。『宿舎炎上編』編は終了です。
次章は時系列的に夏休み後、新学期の話になります。
時系列が乱れて申し訳ありませんでした。




