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天変地異

火を放った途端、視界のあちこちにオレンジ色の線が走った。

それは何かの幾何学模様を描く様に走り、そして………………









視界の全てを炎で埋め尽くした!

「何⁉何が起きたの⁉」

「火事ですの!油を撒き過ぎたのです!」

「セントレア!あなた一体なんて事したんです!」

「姉様!私は何もしていません!」

全方位に一気に広がった炎は声を押える事も忘れさせ、逃げようという思考回路さえ奪い取った。


「一体何?こんな夜中に…………!」

隣の部屋から騒ぎを聞いて令嬢が出て来た

「大変!火事よ!皆様起きて‼火事が起きてますのよ!」

令嬢はこの惨状をみて大声で叫んだ。

それを聞きつけ、更に周囲の令嬢が部屋から出て来て……………

あっという間にフロア全体が大騒ぎになっていった。





「何か………騒がしくありませんか?」

シェリー君がベッドに腰掛け、目を瞑ってそう言った。

ドタドタ、扉の外で足音が聞こえる。

「何かが起きました?まさか、私が出歩いた事がバレて!」

「出歩いた事はバレていないさ。保障しよう。ただし、何かが起きた事も保障しよう。

校則に外出禁止が有るのにここ迄人の気配がするのはおかしい。少し外の様子を見た方が良い。」

何が起こっているのか?そんな事は知っているが、惚けてシェリー君に外を見る様に促す。「火事⁉」「不味くないですか?」「何処が火の手です!」「逃げましょう!」

外の方では既に煙に気付いて逃げ始めた令嬢でごった返し始めていた。

「教授!煙です!煙が廊下に!火事です!」

慌てふためくシェリー君を余所にこう言った。

「落ち着きたまえ。火元はどうやらこの階では無い様だ(・・・・・・・・・)

落ち着いて、避難したまえ。」

「…………解りました!」

シェリー君はそう言って姿勢を低くしながら人ごみの集団に遅れる形で避難を開始した。




「ねぇ、これは如何いう事?」

「私達、幻覚でも見ているの?」

「嘘、ちゃんと確認したじゃない!」

訳が解らなかった。

ちょっとしたボヤ騒ぎで懲らしめる筈だったのに。

アイツの部屋が燃えれば良いと思っていたのに…………。

何で?

何でこうなっているの?




宿舎から避難を終え、見せつけられた現実。

夜なのに眩い炎。

肌が焼ける様な痛みに襲われるような炎熱。

焼ける匂い。

人の悲鳴。


心臓が早鐘を打ち、目の前が真っ白になる。

一体、自分達は何をしてしまったの⁉⁉⁉

「あなた達、確か3階のレッドライン姉妹よね?」

初めに火事を見つけた、アイツの隣の部屋の奴が私達の所にやって来た。

「何故、3階のあなた達が6階の(・・・)空き部屋、しかも火事の火元に居たの?」


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