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積み重ねた帰結

 シソーデの長剣が風を受けて加速する。

 『臆さず向かって来ようと関係ない。重さと速さで堂々と返り討ちにするのみ!』とばかりに横薙ぎにする。

 受け流すという選択肢は奪われた、生半可な防御なら吹き飛ばされる。

 だが、モンテルのメリケンサックはそれを受け止めた。

 本来『身体強化』と『強度強化』をかけた腕と足だけでは加速した長剣の重さと速さに対応出来ない。

 だが、モンテルには支えがあった。

 足を見ればその周囲の地面が僅かに隆起し、衝撃で吹き飛ばない様に留め置いている。

 その背中には背骨の様に上体を支える柱がいつの間にか(そび)え立っていた。


 「こんくらい、余裕だ!」

 モンテルが挑発とばかりに受け止め笑う。

 シソーデはその挑発に敗北で返そうと、もう一度渾身の力で剣を振る。

 「でも、そんなに全身固めたら、動けないだろ!」

 足は深く固定されて直ぐに足は動かない、後ろに倒れ込もうにも土の背骨がそれを許さない。

 (あだ)になった?

 「作るばかりが魔法じゃない!」

 足と背中の土が瞬く間に砕け散る。

 魔法で干渉して、土を骨の様に堅牢に出来るなら、更にそれに魔法で干渉して、脆弱にすることも可能。

 渾身の力でフルスイングしたのが徒になった。

 止めようにも渾身故に止められない。

 空を切り、隙だらけになる。

 「ぶっとべ!」

 右、左と遠慮無く、何度も何度も顔に叩き込む。

 けど感触がやっぱり違う。足元で堪えている……だから何だ!

 一回で上手くいくもんか!

 何度もやって失敗して、何度も考えて。

 踏み止まっている足が揺れ動く。

 試して、訊いて、どんどん上手くなって。

 半歩、後ろに退がった。

 そしてやっと……

 「ぶっとべ!」

 右に思いっ切り魔力を流し込んで、殴りつける。

 変な感触、それを突き抜けた様な気がした。

 シソーデ=ダイエイトが派手に吹っ飛んでいった。

 会場が、沸く。




 《解説席も沸いていた》

 「おぉ、手数でゴリ押しか。」

 「考え無しは奴に似てる……いや、倅は違うか。」

 「だな、脇を締めて威力重視というより手数重視。考える隙と抵抗する隙、魔法発動の隙を削って潰しに来てるな。」

 「『身体強化』や『強度強化』は基礎的な魔法。常日頃発動している者も居る。だが……」

 「呼吸や心臓を動かすのとは違う、完全に無意識ってことは無い。殴られて押されれば……」

 「これが熟練者であれば反撃の糸口になろうが、神童であろうと天才であろうと未だ若人。」

 「崩れ……たな。」

 「入ったな。辛うじて最後の一撃、魔法で弱めていたが……」

 「完全に間に合っちゃいないな、ありゃぁキツい。」

 「神童や天才と持て囃されているが、未熟だな。研鑽も経験も足りていない。」

 「厳しい意見……いや、だがそうだな。あっちも研鑽と経験が足りれば成熟しそうだ。」



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