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長剣と未知の武器


 「ダイエイトの子息が使っているのは、長剣か。」

 「貴族の倅が先ず教わる基本的な武器だな。対してウチの坊の武器は……また偉く珍しい得物を使うんだな。」

 「ふむ、あの武器について解説を願えるか?コックよ。」

 「構わないが、見てからの方が良さそうだぞ?」

 コックの太い指が指し示したのは……



 「なんだ、それは?」

 「見ての通り、武器だよ!」

 シソーデの剣を受け止め、流す。

 そして距離を取ろうとしたところで、一撃!

 「ぐ…」

 モンテルが先制した。

 「メリケンサックって言うんだってさ。便利だろ?」

 長剣を迎え打つは、文字通り鋼鉄の拳だ。

 「初めて、見るな!」

 長剣の間合いを利用して攻撃しようとする、が。

 「遅いんだよ!」

 両手で振るわれる鉄塊。それを片手で止めるのは困難。だが止めずに軌道を変えるだけなら片手で十分。

 そして、鋼鉄は両手を覆っている。

 「ほら!腕は二本有るんだぞ!」

 距離を詰め、更に一撃を喰らわせた。

 長剣の間合いをと退く。だがその一歩の間に一歩と一撃が向かってくる。

 それを切り払おうとするが、流され、一撃が飛んでくる。

 捌き切れない。




 会場は沸いていた。

 モンテルに対して期待をしていない、というより、シソーデへの期待が大き過ぎて圧倒的だった下馬評を鉄拳二つで引っ繰り返したのだから当然だ。

 「両手の指先に嵌めた鋼で拳を強化している訳か。」

 「あぁ、文字通り『鉄拳』ってやつだ。間合いは剣に劣るが手数は剣の倍、おまけに上手く扱えれば剣を流して防御も出来る。

 そして、こういう『決闘』って場じゃ、長剣相手にかなり有利が取れるな。」

 「成程、確かにあの武器が貴人の手を飾っているところは初めて見るな。慣れぬ武器相手ではやり辛かろう。」

 「それもそうだが、もう一つ理由がある。

 『決闘』はあくまで試合。だから向こうの坊が使ってる長剣は剣とは言っても人を真っ二つに出来る様なモンじゃない。そいつはつまり……」

 「恐怖心か。」

 「正解だ。

 鋼で覆ってるとはいえ手元で刃物を受けるのは中々怖いもんだ。なにせ指が飛ぶかもしれない。しくじれば自分の胴体や首が飛ぶ。

 だが、『決闘』なら良くて骨折止まり。遠慮無くぶつかっていける。」

 「対して最初に二撃を打ち込まれたダイエイトの子息は殴られた際の恐怖をも打ち込まれていると。」

 「その通り。これが熟練の達人なら、間合いをうまーく利用してどうこう出来るが、神童だなんだと言ってもまだ実戦経験が足りてない。」

 「このまま距離を離し切れない場合、長剣では不利だな。」

 「これが『武術大会』ならそうだな、このままウチの坊が勝つ……んだがな。」

 「だがこれは『決闘』、そう簡単ではない。」


 大原部長が両さんを殴る時にたまに使っていたアレ。

 ジョセフ=ジョースターがレストランで喧嘩した相手が使っていたアレ。

 それがメリケンサックです。ただ、このメリケンサックはどちらかと言えば手を覆う鎧のガントレット・籠手に近いです。


 評価、ありがとうございます。

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