決意は心の内で
『決闘』
二者の意見や利益に矛盾が生じた際に行われる秩序に乗っ取った武力的な解決方法。
貴族間での政争が過激化し、毒や剣や魔法が飛び交い、あまりにも被害が大きくなり過ぎて国が空中分解しかけた事があり、せめて一対一の正々堂々とした決闘で被害を極力抑えるようにという意味で作られた制度。
だが、それは今となっては昔のこと。現在その制度が使われるという事は無い。
《決闘のやり方準備編》
持ち込める武器は一つまで、立会人に事前に武器を渡して仕掛け等が無いことを確認させること。
使える魔法に制限は無し。しかし、後遺症が残る魔法や致死性の魔法を禁止する。
《決闘のやり方実践編》
立会人が間に立ち、決闘する者がそれぞれ宣誓を行い、その後自分の要求を述べる。
宣誓と要求の確認の後、互いに礼をして、立ち合い人の合図で決闘が開始される。
合図の後、外野が干渉することは厳禁であり、両者或いは片方の生命が脅かされたと判断された場合にのみ、立会人が干渉し、決闘の中断が許可される。
また、決闘時にどちらかがどちらかを殺害した場合、決闘は殺害した側の敗北となる。
『決闘のやり方決闘後編』
決闘が終了した後、互いに礼をし、軽い食事会を行うのが通例。
この際、決闘について触れることはご法度。和解のための儀式。
それ以外のマナーは通常のお茶会準拠。
「肝心な事書いてないじゃん!」
決闘の本を書庫から引っ張り出して読んだけど、戦い方とか、勝つ方法とか、全然書いてない!
何が強いんだよ、どんな魔法使えば良いんだよ!これじゃ殺さずに倒せってことしか解んないだろ!
本を置いて着替えて外に出る。
『貴方に手を貸すことは一切いたしません。』と言われた。
『当主として本件に一切干渉しない。自分で解決しなさい。』と言われた。
『決闘の経験が無く、お力にはなれません。』と言われた。
『そんなことおやめなさい。』と言われた。
誰も力を貸してくれない。なら、自分でもうやるしかない。
『申し訳ありません、モンテル様。私のせいで、私のせいでモンテル様が傷付いて…もうやめて、止めて下さい!』
泣いていた。
このまま負けたらカテナが悪者になったまま、泣いたまま終わる。
頭の中で言葉が響く。
『話を聞いていて、貴方はカテナさんを見ていませんでした。貴方が見ていたのはカテナさんではなく、カテナさんの為に怒る自分。
貴方は義憤で酔っていただけです。
何故、その場で冷静に状況の分析と真実の解明に頭を使わなかったのですか?
話を聞ければ、物的証拠があれば、その場でカテナさんの心を傷付けずに済ませることだって、出来たはずです。
貴方には冷静に考えれば真実に辿り着ける頭脳があったはずです。』
今、カテナを見てる。カテナは争い事が嫌いだった。泣いていた。
自分のせいでと責めて、泣いていた。
ボクのせいだ。
義憤で酔っていた。
確かにそうだよ、あの場で決闘するよりもっと良い方法があった!
でも、もう遅いんだ!
じゃぁもう、決闘に勝つしかないんだ!
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