魔法を考える
見つからない。
何が悪いんだ?
「今回の魔法をよく見てください。
確かに、うまくいっていない部分がありますが、うまくいっている部分もあるでしょう?」
そう言って枝の先で示したのは、平らで穴の開いていない壁。
「何が上手くいかなかったか?その原因を明らかにするには、成功した場合との違いを比べた方が解りやすいですよ。
同じように削って、掘って、それ結果が違うなら、それが原因、あるいは結果の可能性が高いです。」
「………解りづらい。」
「ごめんなさい、教えるのが下手で。」
「別に、これくらいすぐに解るようになる。」
穴もデコボコも無い場所と穴だらけでデコボコの場所を同じように削ってみる。
表面が平らで穴の無い場所の泥は少し濡れてて、削ると枝に泥がついた。
穴が開いてボコボコした場所の泥は乾いて固まって、ゴリゴリ塊と乾いた泥が落ちてく。
次だ。
うまくいった場所を掘ってみる。中はまだドロドロで、掘ったら泥が出てきた。
失敗した場所を掘ってみる。表は乾いていたけど、中はドロドロして、同じように掘ったら泥が出て……
「?」
枝が引っ掛かって動かなくなった。
「?」
枝じゃそれが引っこ抜けなくて、堀った場所に手を突っ込んだら、それが出てきた。
手と同じくらいの大きさの石、それが引っ掛かっていた。
「これ?」
「どうして、そう思ったのですか?」
「だって綺麗な場所にはこんなの入ってなかったから。」
「他の場所も見てみましょう。もし、同じ状態の場所に石が入っていたら、それが原因の可能性が高いです。」
穴だらけでボロボロの場所、穴だらけでボロボロの場所……あった!
穴の開いた場所に枝を突っ込む。したら、出てきた!
「石だ!石が原因だ!」
見つけた!やったぞ!
「……何故、石が入っていると、『地形操作』が上手くいかないのでしょう?」
「なんでって……」
「『何故そうなったのか?』一番大事なのは根本の理由です。
『多分石だろう、石がなければ多分大丈夫、理由はわからないけど石が無ければ大丈夫。』
本当ですか?」
「そうじゃないのか?」
「穴の無い、けれど表面がボコボコした場所を掘ってみて下さい。そこには石はおろか、木の枝一つ入っていませんよ。」
胡散臭い占い師みたいだ。
「ホントかよ……」
掘ってみる。やっぱり表面はボコボコ乾いてて、中は泥で、そして、そしてそしてそして……掘っても掘っても掘っても、さっきより深く掘っても……
「無い。」
「貴方が考えた石が原因である、というのは正しいです。しかし、それは一部で、全ての原因ではありません。非常に、惜しかったです。」
悔しそうに言ってる。多分本気でそう思ってるんだろうけど、イライラする。
「さぁ、復習を兼ねて、考えてみましょう。」
『地形操作』・『地形操作』・『地形操作』
そう言いながら壁を3つ、出して見せた。
一つは表面が大きな穴だらけ、もう一つは表面がボコボコしていて、最後の一つは穴もボコボコも無かった。
「何故起きたのか?起こさないようにするにはどうしたら良いか?
比べてみましょう。」
戻ってきました。




