フードの中は?
後詰めのフード男について。
「ん?あー、あいつかのー。最初から最後までみょうちくりんな奴だったのー。強いっちゃ強いんだが、煮え切らんというか、及び腰というか、んー、逃げ慣れていた?怯えていた?感じがしたのー。
ありゃぁ多分、子どもの頃から逃げる側だったやつだのー。」
「ねぇねぇねぇ、聞いて聞いて聞いて!新しく来た発明家の人に作ってもらった発明、『磁力操玉』っていうの、これ使ってみたんだよ!」
そう言って懐から金属製の玉を取り出した。
放り投げられたそれは不自然な軌道を描き、空中で止まる。
「電磁石を利用した支援魔道具、ですかね?」
「なるほど、純粋な金属の質量による打撃と感電という脅威を同時に与えることで相手の動きを制限すると……この短期間でよくもまあ作ったもんだ。」
「ねぇねぇねぇ、大正解だよ。
あの博士、ものすっごいの。簡単な魔道具の修理から改良から製作までぜーんぶやってくれるの。
今まで商会にあった魔道具をあっちこっち色々カッコ良くなってねぇ。
これだって博士が『使って』って渡してくれたんだよ。」
キラキラした目をしている。物品の金銭的価値ではなく、いわゆるロマンという点で見ている。
「その、インベンター様が作った魔道具でも、倒せなかったと……。」
「ねぇねぇねぇ、聞いてよ。これ何個もぶつけたのに全然痺れなかったんだよ。
最初はピリピリにして、最後にはビリビリするようにしたのに、全然効いてなかったの。」
あまりに雑で抽象的表現。説明と補足が必要だ。
「実はのー、その玉っころの電気を調整して、最初は少―しピリッとさせた隙に殴って仕留めようと思ったんだがのー。一向に効かなかったんでのー。死なないギリギリまで強くして、こっちも少―しばかり本気で殴ったのに……」
「結構平気だったんだよねー。ねぇねぇねぇ、何かの魔道具かねぇ?」
「殴った感じ、フードはその辺にあるフツーのものだと思ったんだがのー。」
言葉を詰まらせた。
「『フードは』ということは、それ以外は普通ではなかったと、そういうことですか?」
「多分、そうかのー。殴った時、殴った感触はあったんだがのー。なんというか、フードが見た感じより異様に厚い様な気がしてのー。打撃が骨にちゃんと届いてなかった気がするんだのー。
魔法とは少―し違う気がしたのー。」
「ねぇねぇねぇ、魔物の毛皮鎧とかウチの博士の魔道具みたな発明なのかねぇ?」
「あぁ………そういや、そうかもしれんのー。」
「というと?」
「最後、逃げられた時にのー、目くらましの閃光でやられたんだがのー」
「ねぇねぇねぇ、フードのやつも食らってたんだよねぇ!おかしいよねぇ?だって自分でやったんなら最初に気づくんだからねぇ。
なら、もう一人、いたんだよねぇ……」
「もう一人、ですか……」
考え込んで、止まった。
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