人質解放
お待たせいたしました。作品の残酷描写が終了しました。
《あらすじ》
人質のクソガキがボコボコにされ、そこにシェリー君が颯爽と現れ誘拐犯連中をボコボコにしました。
警告を書いた理由は子どもが酷い目に遭うから、でした。
恐怖は冷静な判断力を鈍らせる。
あと少しだった。この状況を冷静に判断させないまま、押し切ることがあと少しで出来ていた。
「離せよ!おい離せよ!」
だが、じたばたする手元のクソガキが冷静さを取り戻してしまった。
爆発と殺戮の少女に震えていた男は、ふと、手元にあるものの意味を思い出した。
「おいお前!聞いてんのか⁉こっちには人質がいるんだぞ!解ってんのか?」
その脅迫の返答は三歩向こうの地面にめり込んだ弾丸だった。
「それは、こちらの台詞です。
子どもを騙して攫って暴力を振るって、許される所業ではありませんよ。
すぐにその子を解放してください。次は貴方に、貴方にだけ、確実に当てますよ。」
少女の目は全く笑っていない。
指先にあるのは真っ白な変な形の弾丸。
どうやって撃ち込まれたかは解らないが、その前に撃ったものは石の地面に突き刺さっている。
もし、当たれば俺は死ぬ。
体が上手く動かない。久々の感覚だ。
5年前に妙な組織とやりあった時に腹を掻っ捌かれかけたあの時以来の感覚。
ここが生死の境だ、間違えれば死ぬ。
やってみろよ、死ぬ前にこっちがやってやる!
「当てられるのか?これで!」
ガキの背中の服を掴んで持ち上げ、肉の盾に隠れながらそのまま真っ直ぐに進む。
一歩目、相手の居場所を確認する。
二歩目、弾丸を構えた姿を見てすぐさま盾に隠れて隠し持っていたナイフを肉盾の脇から伸ばす。
三歩目、からだがきゅうにうごかなくなった。
「まだ、動かないようにして下さいね。」
ゆっくり、握られたナイフの切っ先を上下に動かして慎重に引き抜いた。
「ナイフは回収しました。これでもう、動いても切る心配はありません。
ただ、もう少し待ってください。」
服を掴んでいた指を一本一本開かせてクソガキを誘拐犯から引き剥がす。
「これで大丈夫です。もう心配いりません痛い思いはしませんよ。
さぁ、もう少ししたら離れましょう。」
クソガキの手足を確認して、怪我の状態を確認する。ふむ、残念ながら打ち身やあざはあるが内臓の損傷や骨折は無かった。
「落ち着いて、深呼吸して下さい。ゆっくり息を吸って、吐いて。
もう大丈夫です。もう、大丈夫です。心配しないで下さい。怖いことはもうありません。」
口を塞いでいたさるぐつわを切って、背中を撫でて、肩をさすり、言い聞かせる。
過呼吸気味を起こしている。にもかかわらず青い顔をして震えている。
生意気を言っていても、特訓をしたとしても、所詮クソガキはクソガキ。
無言で泣いていた。
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