勉強が遊びに変わる日は
投稿が遅れて申し訳ありません。当分の間、夜投稿とさせて下さい。
《一週間後》
午前の座学は聞いている。時に疑問点があれば、敬語も笑顔も無いぶっきらぼうな様子で訊いてくる。返答に対しても興味が無さそうに装っているが聞いている。
午後の実践に関してはボッコボコである。
今も3つの魔法しか使わないという制限はかけたまま。そして宣言こそしていないが魔法を使う時は複数同時使用は決してしない。
そんなビショップもルークも無い状態……『飛車角落ち』という状態でありながらボッコボコにされている。
行き詰っている。
一切進展が無い。
成長の兆し無し。
いや、成長自体はしているのだ。
座学は聞いている。時々シェリー君が以前話したことをわざと初めて話をしたかのように話すと、話そうとした内容を先んじてそらで唱えて『もう聞いた。』と呆れた表情で答える。
基礎訓練に関しては成長速度が異常だ。
それは才能故のものではなく、午後の実践の後、夕食までの間に練習しているからだ。
オドメイドとクソガキにはそれぞれが練習できる様に専用の糸を渡してあった。
その2日後、オドメイドから自分の訓練用の糸を使い過ぎて壊してしまったから補充してほしいという依頼があった。
クソガキとオドメイドに渡した糸の性質は違っていた。
クソガキに渡した糸はクソガキの魔力量に耐える為に強度を重視した。
オドメイドに渡した糸は強度よりも魔力の伝導率を重視してあった。
当然、それなりの耐久値があった。本数もそれなりに渡した。本来2日で壊せるものではない。
それを破壊したとなれば……だ。
2人以上で仲良く壊したか。
あるいは自分用に調整した糸を使い尽くし、調整していない方の糸を使って練習をしたか。
オドメイドが頼んできたということはつまり、そういうことだ。
故に、シェリー君は2種類の糸を調整して直ぐに渡した。しっかりと『二種類の糸を用意しましたよ。』とオドメイドに伝えてあった。
2人ともしっかり渡した糸を使った結果として、基礎訓練の押し合いのレベルも上がっていた。
基礎は出来た。座学もそれなりに覚えている。
だが、それを使うだけの経験と発想が未だ足りない。
「教えるべきでしょうか、使い方を。」
「やめておくんだ。
他人様の借り物を素直に受け取って使うほど、あのクソガキは素直じゃない。
慌てるなかれ、だ。未だ始めたばかり。種が芽吹いて実るようになるまで気長に待つんだ。」
手に入れたばかりの玩具、それを使いたくなるのは人の常。
玩具を使っていく内に説明書がなくとも楽しめるようになる。
それの使い方が一つじゃないことを知る。
ブックマークありがとうございます。




